ハンブルクのエルプフィルにも環境活動家が現れる

ハンブルクのエルプフィルハーモニーという建物自体が、贅沢品と言えば贅沢品です。総工費7億8900万ユーロ(本日のレートで1140億円ぐらい)という、とてつもない金額がかかっているのです。そもそもはその10分の1の予算で建てられることが計画されていたものの、工事は遅れ、コストは膨れ上がり、そんなこんなでむちゃくちゃに叩かれていましたけれど、喉元を過ぎればでありまして、いまやハンブルクの新たな観光名所として人が集まる場所になっているんであります。

そのエルプフィルにも環境活動家が現れました。先日のアムステルダムでの出来事の、完全なる模倣犯ですね。

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コンサートが始まる直前だったということなので、ギリギリ演奏中ではなかった。行儀のよい、空気の読める活動家だったと言えよう(そんなんがあるとして)。

https://www.br-klassik.de/aktuell/news-kritik/elbphilharmonie-klimaaktivisten-festkleben-dirigentenpult-julia-fischer-100.html

聴衆からは激しいヤジがあったともBR(バイエルン放送)のニュース記事に書かれていますが、実際の映像がこれ。最後2人は指揮台の柵を持ったまま連行されている。

https://twitter.com/James_Zabel/status/1596191499603283968

ちなみに活動家たちが何と叫んだかというと「ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は一つしかない、それと同じで私たちの惑星も一つ。その限界を無視するあまり気候の大災害がより頻繁に、より致命的になっている。ハンブルクが水没したらベートーヴェンを愉しむためのエルプフィルもなくなってしまう」というような内容だそうです。

エルプフィルは100メートル以上ある建物なのでそう簡単には水没はしませんけれど、ハンブルクが水浸しになってはコンサートどころの話ではないというのは、それはそうです。

オーケストラはシュターツカペレ・ドレスデン、指揮者はトゥガン・ソヒエフで、ユリア・フィッシャーがベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲のソリストとして舞台に出た直後もしくは直前の出来事で、指揮者とソリストは彼らの発言を静かに見守ったとあります。大人や。

しかもトゥガン・ソヒエフは叫ぶ聴衆に対して「とにかく聴いてください」と言ったというから、懐の深さに感動する。ソヒエフの対応は実に見事というかパーフェクトすぎる。

ユリア・フィッシャーもソヒエフの意見に同意していて、さらにインタビューに答えて曰く「これが正しい方法かどうか、もっといい方法がないかわからない。人類は大きな課題に直面していて、その課題に真剣に取り組まれているとは思えない」と答えたということであります。

環境活動家たちは演説のあと、警察に拘束されたとあります。世界中で同じ模倣犯が現れないことを願うのみですが、続々現れるような気がする。対応を考えなければなりませんね。事実ベルリン・フィルはその可能性について真剣に考えていて、セキュリティ対策について話し合っている、とBRの記事にありました。

環境は大切。でもコンサート中に叫ぶのだけはやめてね。

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