カーネギーホールにゲルギエフが今年戻ってくる可能性がある、という話が出ているとかいないとか。
トランプ大統領によって任命された米国美術委員会の委員長ロドニー・クックが実現に向けて動いていて、クックいわく、135年前のカーネギーホールのこけら落としではチャイコフスキー自身が指揮台に立った。いまの目標は、今年ゲルギエフがそこで演奏できるようにすることである。
具体的には、ゲルギエフがサンクトペテルブルクのユース・オーケストラを指揮するという計画で、ソリストとしてヴァイオリニストのミハイル・シモニアンの名前も挙がっているとのこと。クックは将来的にはマリインスキー劇場やボリショイ劇場もアメリカ公演ができるようになることを期待している、とも語っています。
とはいえ、まだなんら合意には至っていなさそうです。ゲルギエフはそもそもいまアメリカへの入国が難しい状況にあり、クックによれば、実現には国務省とトランプ大統領の判断が必要になるとのこと。
つまり図式としては、トランプ大統領に任命された人物が、わりと積極的に米露の文化交流を活発化させようとしていて、その大きなイベントのひとつとして「ゲルギエフ&カーネギーホール」を実現させようとしている、ということですか。あくまで個人レベルの構想であって、どこまで米政府内部で具体的な話になっているのかはわかりません。観測気球をほいーっと上げているだけ、という可能性もあります。少なくとも現時点で、カーネギーホール側がゲルギエフの出演について何か発表したわけでもないですし、米政府がこの公演を正式に進めていると発表したわけでもなさそう。
ゲルギエフはプーチン大統領と非常に近い関係にあり、そのこともあって西側諸国での演奏が難しい状況が続いています(中国などではOK)。一方で、ロシアが世界の文化に果たしてきた貢献、あるいはロシアの芸術文化そのものの素晴らしさは誰もが認めるところでしょう。政治や戦争と文化とは切り離して考えるべき、という考え方があるのも承知しています。
とはいえゲルギエフは長年にわたってプーチンを公然と支持してきた人物でもあります。もしアメリカが政府レベルでこの企画の実現に動くとなれば、それは「政治と文化は別」というシンプルな話では済まず、かなり大きな政治的意味を持つことになりますので慎重な判断が求められると思います。
いや。慎重ではない判断なんて政治には本来ないのでしょうけれど。湖の名前を変える話だって精確に計算され、仕組まれているのかもしれませんし!


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