今年チャイコフスキー国際コンクールは開催されるのか?

モスクワで開催される世界的に有名な「チャイコフスキー国際コンクール」は4年に1回の開催です。そして今年はその開催年にあたっていて、夏頃に開催が予定されています。果たして今年、コンクールは開催されるのでしょうか。

チャイコフスキー国際コンクールは戦争が始まってわりとすぐに国際コンクール連盟から排除されてしまいましたが、連盟に入っているかどうかは開催には関係がないので、国が、あるいはコンクール事務局が開催するとするのであれば、もちろん開催はされる。

コンクールの公式サイトは表向き止まっているように見えますし(サイト内にあるNEWSの最新投稿は昨年8月)、延期の可能性もあるという情報もありますが実際はどうなっているのかは全く判りません。今年のコンクールはどうなるのか、と漠然と思っている方が多い、そういう状態かと思います。

私個人としては開催の可能性も十分にありうると思っています。ただし、国外からの参加についてはどうなるのかは解らない。世界のコンクールの多くがロシアからの参加を認めているという現状はありますが、その反対はどうなのか。「どうぞ参加してください」とコンクール側が発表したとして、戦争が終わらなければロシア国外からの参加は心理的に相当ためらわれる。少なくとも何とも思わず参加出来るという人はいない、もしくはかなり少ないはずです。トップページに大統領のメッセージもがっつり掲載されているし。

その一方で、チャイコフスキー国際コンクールがクラシック音楽の世界に果たしてきた貢献というか、このコンクールから世界の檜舞台に躍り出た人たちも少なくないため、チャンスをうかがう若者たちが「なんで」という思いを持つことも容易に想像ができます。4年に一回しかない上、年齢制限もある。「今回が最後のチャンスかも」という人たちにとってはチャンスの幅が狭められることとなり、痛みを感じる若者たちがいるのは間違いがない。気の毒です。気の毒としか言えない。

しかし実際に戦争の最中にロシア国外から参加をして、仮に優勝したとしても純粋な気持ちでは喜べないし、世論や仲間の音楽家たちから叩かれ、後ろ指を指されるかもというリスクもあります。「戦争中の回に参加して優勝した人」などと言わ続ける、かも知れない。

残念だが戦争が続く限りチャイコフスキー国際コンクールは、仮に開催されたとしても、広く世界中から才能が集まるコンクールとしては成立しない特殊な回になるだろう、異様な雰囲気になるのだろうと考えます。ネットでの中継も行われないかもしれません(ただ「広く参加者が集まらないかも」と言うことと「ロシア国内からものすごい才能が現れるかも」というのはまた別の話です)。

考えたくないことですがこれはさらに次の回となるはずの4年後、2027年についてもおなじことが起こり得るかもしれないのです。

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