パリ・オペラ座の天井画を巡る論争

パリ・オペラ座の天井に描かれている絵というとシャガールというイメージですか。シャガールのあの華麗な絵を思い浮かべるオペラファン、パリ好きの方もたくさんおられるでしょう。しかし、実は、考えて見れば当たり前だが、シャガールの絵は後付けなんですよね。1964年に披露されたシャガールの前に、オリジナルの絵があった。

それが、この建物を作ったシャルル・ガルニエの名前を冠し「ガルニエ宮」と呼ばれるパリのオペラ座が出来た当初(1875年)に描かれていた、ウジェーヌ・ルヌヴーの天井画であった。日本語が難しいですね。もっと分かりやすく書けるはずだが時間ないので進みますね。ちなみにオリジナルの絵は「Les Muses et les Heures du jour et de la nuit」(《ミューズたちと昼夜の刻》ぐらいの意味)といって、習作がオルセー美術館に所蔵されています。

ところが1960年のこと、当時の文化大臣アンドレ・マルローがシャガールの舞台美術でダフクロ(オフクロではなくダフクロ。ダフニスとクロエのことです。)を観ているあいだに、新しい天井画のアイデアが降ってきたようで、シャガールに話をもちかける。オペラを刷新する、いまを生きる、というような感じで注文されて1964年の9月にお披露目、いまにいたる、というわけです。

では、そのかつての天井画はどうなっているか、これが面白いのですが、その下に(実際には上に)そのまま残されている。つまり二重になっているわけです。シャガールの息子によれば、シャガール本人は自分の絵を取り外せるようにしてほしい、と強く希望していたそうです。

で、いまルヌヴーの子孫というか遠縁の末裔(great-great-great-great-grandnephewってどんだけ遠いの)のお一人が、本気で、ルヌヴー復活の運動をしている、ということなのだそうです。これは実に面白い!単にシャガールを引き剥がせ!と言っているわけではなくて、いま大規模改修の話が進んでいるところ、せっかくなのでこの機会にどうなの、と言っているようですね。10年ごとに交互にする、とかそういう事を言っているようで、なんとなればもう一個新しい第三の天井を作ってはどうか、という案もでているとか。

オリジナルを見たい、という声もあって当然のことですし、オペラ座の未来を考えさらに新しいものを、とするのも判りますし。これはどうなるか、ワクワクテッカテカで行く末を見守りたいと思っています。

あの絵の裏にオリジナルがあるなんて、なんてすてき。ご存じの方は当然ご存じの案件ではございまして、いまさら何をと言われたら申し訳ございません。いやー今日は面白い話を知りました。元気が出ました。

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