イングリット・ヘブラー死す。93歳

また一人、偉大なピアニストが亡くなりました。モーツァルト弾きとして名を馳せたイングリット・ヘブラー、93歳。亡くなったのはおとといの日曜。あと1月ほどで94歳でした。

Die Pianistin Ingrid Haebler ist gestorben Salzburger Nachrichten
https://www.sn.at/kultur/musik/die-pianistin-ingrid-haebler-ist-gestorben-138749791

偉大なピアニストの実演に、どれだけ接する機会がありましたか。こうして訃報を目にすると、いま生きて、いま活動をしている音楽家たちの実演に接するということのありがたみというか、大切さを感じますね。少なくとも自分の記憶にはしっかりと残る、それがとても意味のあることだなと思います。

後になって「あの時聴いておけば良かった」と後悔しないよう、今日も明日も、コンサートに行こう!あっ・・・そうだ!今年の秋は音楽家の中の音楽家、生ける伝説、スペインの賢人ジョルディ・サヴァールが5年半ぶりに日本に来るじゃないか!(宣伝すいません)サヴァールも82歳。この機会を逃すわけにはいかない。桜木町で、三鷹で、上桂で、お待ちしてます。横浜公演のチケットはただいま先行発売中なのでこちらから購入に進んでください。

私はリヒテルも、ミケランジェリもホロヴィッツも聴くことが出来なかったけれど、アルゲリッチ、アシュケナージ、ルプー、ブレンデル、ウチダ、ツィメルマンなどといった偉人たちの演奏家聴くことは出来ました。そしてへブラーは奈良県の秋篠音楽堂で聴きました。タマネギ型の髪も目撃した。

アンコールでへブラーはシューベルトの即興曲を弾いたんですよね。それが圧倒的なやわらかさでホールがふわーっと満たされて、うわ、うわーっと思ったのを憶えています。もう30年ぐらい前の話。

1929年ウィーン生まれポーランド育ち。第二次世界大戦が始まるとザルツブルクに移住。ジュネーヴでニキタ・マガロフに、パリでマルグリット・ロンに師事。1954年のミュンヘン国際で優勝して国際的なキャリアが始まる。フィリップスからモーツァルトを中心に多数のレコードをリリース。引退してからすでに長かった。

キャリアを築き、長年にわたって国際的に輝かしい活動をしたのち、引退し、静かに世を去る。きっと素晴らしい人生だったのでしょう。

シューベルトのイ短調のソナタD845:

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