アレクサンダー・ペレイラ、オーストリア、ウィーン出身の77歳。クラシック音楽関係、特にオペラ界隈では有名な人物です。ザルツブルク音楽祭やミラノ・スカラ座のインテンダント(総裁と呼ばれるいちばん偉いポジション)を務めた大物であります。
ペレイラはフィレンツェ五月音楽祭の総裁を務めていたところが突如として辞任。会社のクレジットカードを不当に個人の経費として使用していたことに関する懸念から、2023年に辞任したのであります。
ディアパソンによれば、フィレンツェ五月音楽祭の予算から17万5000ユーロ以上(一部報道では20万ユーロ以上)横領したとされ、さらには本来は財団の資産増強のために用いるべきだった合計3500万ユーロを横領した嫌疑がかけられていて、懲役4年4ヶ月と12万6000ユーロ、またイタリアの文化省からは1000万ユーロの損害賠償を求められていた、と、文字だけをみるとわりと巨額の案件。
で、フィレンツェの裁判所が先日出した判決によりますと、引っ越し費用24,000ユーロ、電車賃60ユーロに関する横領の罪で懲役1年10ヶ月(執行猶予つき)、また音楽祭の財団に25,909ユーロの罰金、また音楽祭にも1,500ユーロの罰金、そして今後5年間は公職に就くことを禁じられた、とのことであります。
うわー、横領かーやべー、有罪しゃーないかな、とも思うのですが、ディアパソンは「ペレイラの実質的な勝利、ほとんどの容疑で無罪」と題しているので、なるほどそういう捉え方もあるのか、と思うわけです。まあ確かに1000万ユーロが27,000ユーロで済んだとみればそれはすごいことかもしれません。最終的な判決が確定するのは8月、本人の代理人によれば、結果に満足しており、控訴はしないとのこと。ただし本人はよくても相手方が不満として控訴する可能性はありますかね。
オペラ界隈というのはなかなかにドロドロドロドロドロドロドロドロ(以下エンドレス)しているとはよく耳にするところではありますけれど、一枚岩ではけっしてない。政治の世界といっしょか!!そうです!たぶん。敵の敵は味方、あるいは敵の敵はやっぱり敵。そういう世界です。ペレイラ氏もそのような世界を渡り歩いてきたわけで、絶対にクリーンかといえば、そうではないかもしれないし、やっぱりクリーンかもしれないし、そこは外野がどうこう言える立場にないわけです。
自分が罪を犯したことのない人だけが石を投げよ、という言葉が当てはまるものでもあるのかもしれませんね。石は英語ではすなわちストーン。つまり、振り上げた右手はここへ来て急激に勢いを失い、ストンと足元に落ちるわけだ。うまいこといった。
誠実に生きましょう。
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