ウィーン・フォルクスオーパーの音楽監督ベン・グラスバーグ、うつ病で辞任

ウィーンのフォルクスオーパーには何度か行ったことがあって、国立歌劇場がギラギラとしているのに対して、もう少しアットホームなというか、親しみやすさとか、なんとなくホッとするというような気分でしょうか。落ち着いた気持ちで時間が進んでいたような気がしています。あのキリル・ペトレンコも若い頃にここで指揮をしていたのですよね。

年末にはJ.シュトラウスII《こうもり》も観た記憶がありますね。酔っ払いのフロッシュのせりふが全く聴き取れない、なまりがひどくてわけわかめや、と、隣に座っていたウィーンに長く住んでいる先輩が言っていたのを覚えています。

安めの席を買っていたところ、2階席のど真ん中最前列が空いていたので移動して座った的な事もした記憶があります。いや、さすがに今はそういうことはしないし、いまの価値観からすると、それはさすがにどうなのということになるのでは、と考えて首をすくめています。ごめんね。

ごめんねって誰に謝ってんの?そうね、、、劇場?近隣席の人たち?それとも本来そのチケットを持っていたが来なかった方々?当時の向こう見ずだった自分?それとも、全部?

ウィーン・フォルクスオーパーの音楽監督はイギリス人のベン・グラスバーグ。首席客演指揮者を経て、2年前に就任していたのでした。ところが健康状態が優れないようで、このたび辞任をすることになったそうです。

うつ病というのは本当につらい病気なのだろうなと思います。周りが頑張れなどと言ってはいけない(それが負担になるから)などとも聞いた事があります。ご本人がインスタグラムで、自分の精神的な健康状態について同僚や友人たちにオープンに話すように努力してきました。ありがたいことに日々大きな進歩を遂げています。と書いていて、書く事がもしかすると治療のひとつなのかもしれませんね。笑顔だけど、無理してるのかもしれません。

指揮活動を完全に停止するわけではなく、仕事は続けることも示唆されています。指揮者というのは、様々な異なる意見を持つ音楽家の皆様をまとめあげる、うまくやる、という能力がもとめられ、特にオペラの場合は関わる人の数も半端ないので、ストレスはマックスなのだと思います。こういう時は冗談抜きで申し上げたい。

ご安全に。

グラスバーグさんに精神的な健康と安定がもたらされますように。

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