チョン・キョンファのカーネギーホール・カムバック公演について思うこと

昨日に引き続いてこういう話で恐縮ですが。

チョン・キョンファが再来月、カーネギーホールで演奏するそうです。それにあたってソウルで記者会見をしたそうです。これですね。15年にわたり共演しているピアノのケヴィン・ケナーと。ケヴィン・ケナーはご存じ横山幸雄が3位に入った回のショパン国際コンクール(1990年)で最高位の第2位だったアメリカのピアニスト。

チョン・キョンファが初めてカーネギーホールの舞台に立ったのはコンクール、1967年のことで、当時彼女は19歳。ピンカス・ズーカーマンと勝利を分け合ったということだそうです。それ以来、彼女はスターとして活動し、デッカからCDもブリブリでていたが、最近はあまり活動を聞かなくなっているかもしれません。

しかしカーネギーホールに帰ってくる!というわけで、韓国で話題になっているのでしょう。わざわざ会見を開くぐらいだから。やはりスターなんですよ。スター、いい響きですよね。Perfumeがコールドスリープだそうですが、彼女たちだってやがて戻ってくるはず。スターは戻ってくる。なんと甘い響き。

しかし、スターはどうして老いてなおカムバックするのでしょう。最近うちの子どもらが私の本棚にあったブラックジャックを見つけてせっせと読んでいますが、マリリン・スワンソンの回とかを読むとそれがぐっと胸に迫ってくるんですよ。スターは人生の最後までスターでいたいもの。そしてファンも同様に歳を重ね、自分たちが追いかけたスターの姿をずっと追いかける。たぶんですが、この構図ですね。

とても大切なことだと思います。もはや若い頃のきらめき、フレッシュさはないかもしれない。テクニックも衰えているだろう。しかしファンはその過去の姿を現在の姿に重ね合わせ、何度でも感動し、鳥肌を立て、語り続けるのだろうなと思います。

歴史は繰り返される。すなわち、いま若いスターたちもやがては老いる。今のスターたちを支えてきたファンたちが同じように次のマリリン・スワンソンを支えるのだろうなと。ステージの裏側にいる私たちのような存在は、日々の糧を稼ぐのに一生懸命、オラオラ自転車があああぁぁ、、操業してんぞっ!!というところもあるんですけれど、長期的な視点を持ち続け、バランスの取れた仕事をしていかないといけないのです。

ただいま日本でスカラ座フィルとツアーをしている弟のチョン・ミュンフンがスカラ座の音楽監督になったことについて「創造もできなかったことです。とても嬉しいし幸せです。天国の母はどんな思いでしょうか。ミョンフンの存在に頭が下がります」、と語っている。これを読んでジーンとしない人はいないのではないかと思います。

チョン・キョンファのカーネギーホール公演が大成功に終わることを祈って!!今日は子どもらと金魚釣りにでも行こうと思う。子どもたちには豊かな子ども時代を経験をしてもらおう。時は一方通行で、戻ってこないのだから。

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