パリのオペラ座は皆のあこがれ、というか、パリという街がみなのあこがれだったりします。私も、えへんえへん、シャンゼリゼ通りを初めて見たとき、あるいはエッフェル塔に登ってなぜか日本コーナーがあることを知ったときなどの興奮をいまでも憶えているようです。なんかこう、街がピカピカと輝いているようにみえて、翼よこれが巴里の灯だ、といいたくもなったものである(若干大仰に書いている点はお含み置き願います)。
パリのオペラ座は2つあります。オペラが2つもあるなんて豪華ですよね。歴史的な建造物であるガルニエ宮、それから、モダン建築のバスティーユ。で、まずガルニエが2027年から29年まで閉館し大規模改修をする、そののち2030年から32年にかけてバスティーユを改修する、そのような計画があって、いや、東京や近郊も大規模改修とか閉館とかそういうのでいろいろ現場がやばい、という話になっていますが、パリも大変です。
このプロジェクトには<Nouvelle Ère, Nouvel Air>という名前が付けられていまして、「新たな時代、新たな空気」といった意味ですが、①この二つの単語はエール、同じ発音であります。②airは空気でありますが、旋律やオペラアリアという意味合いもあります。つまり、ひっかけてひっかけています。アハうまいなと、にやっと笑うしかけになっています。キャッチコピーは、うまいなと思わせたもん勝ちです。
それが、そんなお気楽に構えていられなくなったのです。なんと2年の予定が5年かかることがわかったそうです。2027年から5年間!あおりをうけて、バスティーユのほうも2033年から35年に変更になるということだそうです。両方を同時にしめちゃうと全く上演ができなくなるので、それはあまりにも巨大な痛手でありますから、交互にということになります。
なぜ始まってもいないのに工事の延長が決まったのかというと、鉛。ガルニエ宮の舞台機構に大量の鉛が使用されていることがわかったため。その撤去にめっちゃ時間がかかるようなのです。日本におけるアスベストと似たような感覚ですね。静かにしている分には大丈夫だが、切ったり削ったりすると人体に危険な物質が飛散する。
建設当時の安全基準がいまとは異なっていたために起こっている問題です。人間の命や健康に関わる大問題なため、徹底的な封じ込めが必要で、それに時間を要する、ということになりましょう。
もちろん、改修にかかる費用も一気に上がることが想定され、その意味でも頭が痛いということになります。もっと予算を!と国にお願いすることになるのでしょうけれど、フランスも文化事業への予算カットが著しいと先日もあるフランス人アーティストに聞きました。前途は多難です。


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