ユジャ・ワンが先週金曜日、ザルツブルク音楽祭でリサイタル・デビューを果たしたのだそうです。もともとはエフゲニー・キーシンが予定されていたところ、「腕の調子がいまいち」ということでキーシンが急遽キャンセルしたため、その代わりとして、いわゆるピンチヒッターとして出演。
https://www.sueddeutsche.de/kultur/yuja-wang-1.5635041
https://kurier.at/kultur/yuja-wang-in-salzburg-eine-pianistin-die-ihr-publikum-mitreisst/402102639
世界は広いなと思うことと、世界は狭いなと思うことの両方があって、今回のニュースは、世界は広いなと思った、そちらに属します。
どういうことかというと、ユジャ・ワンぐらいのクラスにまでなれば、ザルツブルク音楽祭で当然すでにリサイタルぐらいやっているやろ、と勝手にこちらは想像しちゃうわけですけれど、そうではなかった。えっ、そうなの?意外やわ~。・・・ってそういう感想を持ちましたよということです・
本人のFacebook動画。公演前。
世界各国の超一流の場で演奏しまくっている人なのに、ザルツブルク音楽祭でリサイタルをやったことがなかった、っていう不思議な現実。とはいえ、この感覚が、どういうものかわからないわ、っていう方もおられるでしょう。うむ。どう例えたら伝わるでしょうか・・・
・もちろんウィンブルドンでも優勝してたよね?えっまだだったの?
・今回で天皇杯優勝何回目?えっ初めてだったの?
・当然アイガー北壁も制覇しているよね?えっまだ登ってないの?
・たしか群像新人文学賞とってたよね?えっとってたのはイグノーベル賞なの?
うーん、どれもしっくりこないし、なんか一部明らかにおかしい例えも混じっているようですけど、まあなんとなく言いたいことがわかっていただけるのであれば、それでいっか、っていう気もしています。
まあそれにしてもキーシンの代打でユジャ・ワンが呼べるっていうのはめっちゃすごいことですよね。なんとも贅沢ですし「いーよーオッケー」ってってすぐに飛んできてくれるわけですから、さすがザルツブルク音楽祭だなと思いますし、日本ではこうはいかないですよ。ビザが、とか、そういう問題も出ますし、本人がそもそも受けてくれるかっていう問題もありますし、お客様から強烈なクレームも飛んできそうですし(同じスターピアニストとはいえ、客層はあまりかぶらなそうという意味で)。
本当に羨ましい環境だと思いますね。
というわけで最後に全然関係ないことを書きますが、最近は「野球を例えにしても若い人はわからない」っていう現実があるそうです。まじか。いまこの文章をお読みの皆さんは「代打/ピンチヒッター」っていう言葉はおわかりになってスッとそのままお読みいただけましたでしょうか?・・・若干心配になってきました(両方の意味で)。
コメント