音楽界の藤井聡太。ヨーロッパを席巻する2000年生まれのフィンランドのスーパースターは早くも回想録の準備を始める

去る者がいればやってくる者がいる。時代は回っていくのだというお話です。

音楽は将棋のように勝ち負けがないだけに、なにがよくてなにがよくないのかというところが見えにくいんですよね。特に指揮者は自分で音を出さないし、指揮者がダメダメだった場合オーケストラが自主的にサクッと自分たちの音楽をやっちゃうので「指揮者の善し悪し」っていうのが一般人にはますますみえづらいんですよね。

さらに言うと指揮者という言葉には若さとか瞬発力とか才気煥発とかそういう言葉よりも、賢者とか仙人風とか、年老いた魔法使い、含蓄に富んだ、など、そういった言葉の方が似合うようなので、老人がもてはやされる傾向があるんですよね。

若者がうわーっと勢いよく出てくると、不思議と怒り出す方々がおられるんです。どうせビジネスだろ、売れるんだろ、つまんない、深みがない、退屈、などというコメントがずらっとならぶことになる。これはゆゆしきことだと私は思っていて、スターが出てきたらつまんねえ、とすぐ言うのではなくて、いいところを見つけようとする姿勢が求められると思うんですよ。

なぜこの人はスター街道を走っているのか?なぜ絶賛されるのか?その理由がわからないのであれば、しばらく黙っている事をおすすめしたい。判ったふりをして、そしてマウントを取りたくて「クソつまんねえ」とかいうのはみっともないぞ!!(自戒を込めて)それに、売れるのは大正義です。売れる人がいるおかげで、売れない人も成り立つんですよ。

なお本当につまらなかったらその人は消えていきます。本当に凄かったら消えずに爆走します。どちらかというと消えていく人の数が多いので、つまり「けなす」ことが成功する確率の方が高いかもしれませんので、ついついそうしてしまいたくなるかもしれない。

例えばいま世界を席巻しているクラウス・マケラをみてください。罵倒しまくる人もいますが、今のところ消えていく気配はありません。実際にマケラと共演している複数のオケ関係者に聞いたところことごとく全員が大絶賛していました。現場が褒めている人は強いっすよ(もちろん現場がずっと褒め続ける保証もないけど)。そういう若いスターたちが出てきたらもっとみんな褒めようぜ。せめて罵倒はやめて「判断留保」してください。うーん、わかんないな。もうちょっと様子をみよう。それがいいです。

そういうことです。大先輩指揮者たちと比較してどうこう、はやめたほうがいい。まだまだ若いんだし、これから大先輩を超えてくる可能性だってあるわけです。それに先輩たちもかつてはひよっこだったのだから。

というわけでまたまた前置きが長くなったんですが、まだ日本には来ていない大型新星がフィンランドにいます。23歳のタルモ・ペルトコスキである。早いことどこか呼んで下さいと思っていますが、所属事務所が出し惜しみしているという噂もあり、そう聞くとますます期待が出来る。インタビュー記事が出ていたので読んでみたら心臓バクバクするような事が書いてあるやんけ。

”Tähän minut on tehty”Helsingin Sanomat
https://www.hs.fi/kulttuuri/art-2000009533754.html

「11歳でジークフリートを聴いて指揮者になりたいと思った」っていうんだからどういう頭の構造しとんのや本当に。18歳でシベリウス・アカデミーに入学したが指揮の仕事がたくさん入ってきて選択を迫られたので退学したとかいう話もすごければ、この年齢にしてすでに「指輪」全曲を指揮したというのもまたすごい。「トリスタン」なら室内アンサンブル用に自分で編曲して指揮したよ。そして将来出す回想録のためその準備もしたほうがいいと言われてそうしている、とかあって、大物はやっぱり違うなとため息が出る。

経歴は事務所のサイトとか見ていただければわかると思うので気になる方は行ってきてください。すでにドイツ・カンマーフィルとロッテルダム・フィルの首席客演指揮者をやっていたり、ラトビア国立響の音楽監督をしていたりする。そしてこのところ一番でかいニュースが、戦争が始まって辞任したトゥガン・ソヒエフの後を継いでトゥールーズ・キャピトル管の音楽監督になるというニュースですね。23歳ほんますんごいやん!

これからさらなる大爆走して新しい巨大な風を巻き起こしてほしいし、若い聴衆も引き込んで行って欲しいと心より願うものであります。

さあもっともっと若い天才を応援しようぜ!クラシック音楽もコロナ後に大爆発しようぜ!!

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