【ウィーンの新コンサートマスター】6/29(土)ヤメン・サーディ 広島初上陸!(18歳以下無料招待あり!) チケットはこちらから

一晩だけテノールにもなったソプラノ歌手の話

Photo: Katia Ledoux / Facebook

ウィーンのフォルクスオーパーにおいて、今週水曜日のオッフェンバック《地獄のオルフェ》で主役のオルフェ(テノール)とヴェニュス(ソプラノ)という2つの役を一人のソプラノが歌いました。

はっ?

そう、その反応が絶対的に正しい。はっ?なに寝ぼけた事言ってんの?ソプラノが、主役を代わりに歌うなんて、あっていいのか。いいんです。いいんちゃう?事実は小説よりも奇なりって言うやん。それよそれ。

https://operawire.com/katia-ledoux-makes-history-at-volksoper-wien-singing-two-roles/

主役が急病になった火曜日夜のフォルクスオーパーはてんやわんやだ。公演は明日、水曜の夜。劇場は代役を探すも断られまくって見つからない。

ソプラノのカティア・ルドゥがステージマネージャーに向かって、冗談で「私できるかもよ、あまり二人が一緒に登場することもないし、一緒の時も同じメロディを歌っていることも多いし」と言った。そうすると真面目にステージマネージャーは考え始め、出来なくもないな、ということになった。「明日のショーの前に3時間のリハーサルがあるから、もしかしたら出来るかも)」。

彼女が冗談半分で出来るかもと言ったのが19:40、その10分後の19:50には、彼女は「出来る!」と言い切った。静寂が部屋を覆う。決断が下され、よしやろうということになる。翌朝8:30から大急ぎで準備だ。衣装合わせ、台詞の読み合わせ、歌の練習をこなし、カツラを被って、ステージリハに望む。19:00に幕が上がる。「今夜はカティア・ルドゥがヴェニュスとオルフェの両方を歌います!」というアナウンスと共に。

ルドゥは突然恐怖に襲われた。ショーの間中自分を責め続けた。いくつかのシーンを台無しにしてしまった。悪夢よりもずっと怖かった。しかし最終的には人生で最も暖かく美しい拍手をいただき、「大胆不敵」という言葉を獲得できた。

劇場の全員に感謝したいプロンプター(歌手に「歌詞」と「入りのキュー」を教えてくれる舞台上の箱の中の人)に感謝したい、と。

いやーすごいわ。前日にテノールの主役をやろうか、とか言い出すソプラノ、普通いますか(いやいない)。全文は彼女のFacebookでどうぞ。やり遂げた感が伝わってきて感動するじゃないか。

Slippediscのコメント欄を見ると、ギネス・ジョーンズがR.シュトラウスの《影のない女》でやった、とかビルギット・ニルソンがやった、ヴァルトラウト・マイヤーが《ワルキューレ》でジークリンデとフリッカを歌った。とかそういうタレコミ情報もあって、過去に例もあるんだ、とまた驚く。

コメント

コメントする