イスラエル・フィル、渋滞にはまって動けなくなる

世の中、何事もスムースに行っていることを感謝しないといけないのです。私もただいまお仕事を頂きましてあるオーケストラのツアーに同行しており本日は札幌よりお届けしていますが、ツアーという物はプロフェッショナルな方々のプロフェッショナルなお仕事に支えられている、ということを再確認しています。

楽器や荷物はトラックが全国に走って、たまにはフェリーも使って会場に届ける、プレイヤーたちはバスが予定通りに会場の楽屋口へとつつがなく到着する。長距離移動の際は旅行代理店の皆様もヘルプにお越し頂き、チェックインや飛行機の乗り換えを限りなくスムースにしていただける。ホテルのチェックインは「団体チェックイン」と言って一人一人がフロントでパスポートを見せて名前を書いて・・・という作業をスキップしていただけるようになっている。つまり、ルームキー、wifi情報、ホテル周辺の情報など、有益な事が書かれた封筒がドバッと人数分机の上に用意されていて、さっと自分の封筒をとってそのままお部屋に入れるようになっている。

ホールに行けばどうだ。すでにステージ上は整えられており、プレイヤーたちは自分の椅子に腰掛けてすぐ練習が出来るようになっている。またさまざまなプレイヤーたちのリクエストにもどんどんと対応がされていく。なにぃ?忘れ物をしただぁあ?オッケー、電話して聞いてみるね。見つかったから翌々日のホテルに送るね。ただし着払いだぞこのうっかりさん!

素晴らしいことです。この裏方のお仕事をぜひドキュメンタリーなんかに撮ってですね、オーケストラツアーの真実、とか、オーケストラとロジスティクス、とかそういうタイトルをつけて発表したら大受けすると思うな。うん。私は3日前に広島県民酒場なる平和記念公園近くの居酒屋で運送会社のおっちゃんと飲んだけどいろんな経験談がめちゃくちゃ面白かったぞ。

さて、イスラエル・フィルでハプニング。定期演奏会のためテルアビブからハイファへと向かうバスが大渋滞に巻き込まれ、公演時間に間に合わないというクライシスがハプンした。ハイファの客席ではみんながやきもきしながらオーケストラを待っていた。バスの中のメンバー達もイライラしていたに違いないが、できることはただ座っていることだけだった。そして、、、、マイガッもう開演時刻だ。どうする、アイフル。

・・・・・・ソリストのギル・シャハムが一肌脱いだんである(指揮者やソリストはオーケストラのバストは別に移動する事が多いです。大抵はバスよりも遅く出発しますが、今回は早めに出ていたのか、バスの通れない細い道を使って先に到着していたか、あるいは電車?で移動していたのでしょう)。

バッハのパルティータ3番、そして小品も弾いて、その場をつないだのだ!これは契約社会ガチガチのアメリカで育った人の感覚からするとたぶん全くする必要のない行為かと思われます。本来であればソリストはこういう時ただオーケストラを待って、そして一緒に弾けばよろしい。しかしギル・シャハムは違った。自ら進み出て、客席でぽつねんと待つ人々のために演奏をして見せたのだ!!バーン!

この行為に対してはさすがシャハム、演奏も素晴らしいだけでなく人としても素晴らしい、と賛辞の言葉が並んでおります。

THE ORCHESTRA’S STUCK IN TRAFFIC? LEAVE IT TO THE SOLOIST – Slippedisc
https://slippedisc.com/2023/06/the-orchestras-stuck-in-traffic-leave-it-to-the-soloist/

臨機応変すぎる対応をしたシャハムに乾杯。そして日々の定刻開演のために仕事している全てのご関係者へと思いを馳せ、ここに乾杯いたしたい!チアーズ!!!

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