韓国人の名前はどうやって読めばいいのか問題

Photo from Sydney International Piano Competition

シドニー国際コンクール2023の結果が出ました。韓国人が優勝です。おめでとうおめでとう。お名前はJeonghwan Kim。ふむ。もう一回書きますね。Jeonghwan Kimです。あなた、読める?わたし読めない。キムは読めます。でもJeonghwanが読めない。

Jeonghwan KimSydney International Piano Competition
https://www.pianoplus.com.au/profiles/jeonghwan-kim/

コンクール公式サイトを見ますと、仙台国際で4位に入っている人だということがわかりました。そこで仙台国際コンクールサイトに行き、ジョンファン・キムと読むようだぞということがわかり安堵しました。

いやはや韓国語のスペルの難しさよ。これ見て、下はぜんぶ有名な韓国のピアニストのお名前とそのスペルです。

チョ・ソンジン=Seong-Jin Cho
チョン・ミョンフン=Myung-whun Chung
キム・ソヌク=Sunwook Kim
ソン・ヨルム=Yeol Eum Son
ソヌ・イェゴン=Yekwon Sunwoo
クン=ウー・パイク=Kun Woo Paik

読めます?読めないでしょう?韓国出身の方に聞かないと読み方わからないんですよ。面白い。なお、最後のクン=ウー・パイクはその昔、最初にカナを振った人がローマ字読みさせちゃったのが定着しているのであって、本来はペク・コヌと読むらしいんです。はい。

いやむしろこれ、クン=ウー・パイクの方がクールに響くと感じるのは私だけでしょうか。もうクン=ウー・パイクで定着もしてるからそのまま行きましょうっていうことだと思うんですよ。いや、世の中ルッキズムという言葉が最近取り沙汰されていますけれど、名前の響きもオリジナルに近づけるべき、なのでしょうか。そうなのでしょうきっと。

とはいえ「名前の読める読めない」問題はなかなか簡単にはいかぬ難問なんですよ。原理主義的な方々は「元の言語にもっとも近いカナ表記をすべき」と言われるのですが、そしてそれは判らぬ事でもないのですが、それによって奇天烈なカナが振られることになると「その名前が憶えて頂けん」ということにもなりがちなんですよ。もっと言うと、そのアーティストの売れ行きを左右するわけ。わりとゆゆしきことです。アーティストは「名前を憶えて貰ってなんぼ」ですから。

名前はその人の顔ですので、ちゃんと誤りのないようにしたいとは思うものの、そうも簡単にはいかないんです。シュベーと言われても、モザーと言われても私たちには理解が困難ではありますが、フランス人にとってみたら自分たちの普段の言葉でもっとも読みやすい=憶えて貰いやすい名前の方がよかったりするんですよ。なおシューベルトとモーツァルトのことです。

韓国語のお名前だけでなく、アジアの名前は欧米の方々にとって読むことも憶えることも難しい、それはそうです。それをよく知っていて欧米風の通名をつけるアジア人もいます。また五嶋みどりさんは「ミドリ」で通っている。これは五嶋との合わせ技だと複雑化が過ぎて憶えてもらえないからというのもあるでしょう。でも、大谷翔平はショウヘー・オーターニ!とだいぶ無理はあるがフルネームだ。ここまでくればフルネーム化してもらえる時代になったということか(あまり深く考えず書いています)。

しかしですね、シドニー国際でジョンファン・キムがバルトークの2番を弾いて優勝したというのはなかなかいい話だ!!ラフマニノフやプロコフィエフ一辺倒じゃないっていうのはとてもいいことだし、それにバルトークは3番ばっかりが弾かれるけれど、私は2番の方が傑作だと信じて疑わないからであります。2番の強烈なドライブ感はほかにはないぜ!紙の楽譜だって2番だけ持ってるぜ!もちろん弾けないけどな!!

さあ、さっそくと優勝を決めたバルトーク2番の演奏を聴いてみようよ。サムネ画像はその前に弾いてる女性のものですが、演奏はジョンファン・キムがすぐに始まるようにセットしておきましたから。ごめんWynona Yinuo Wangさん(うっ、読めない・・・!!)。

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コメント一覧 (1件)

  • 韓国の方の名前は、オが二通り・ウが二通りの発音が有るが日本語的には同じ記載になることと、前の発音の末尾が次の発音とくっつく流音化があるので、ハングル見ないと正しく発音できないことが多いです。しかしその他にも前の発音と次の発音の関係で音が変わってしまうことがあるので(鼻音化とかいろいろあります)その発音変化を覚えていなければならないとか、やっかいなところがありました。今回挙げられた方々ではクン=ウーがコヌってのがアルファベットでいわば分かち書きになっていますが現地では違う発音になっている代表例です(ハングル想像するとたぶん正しく発音できます)。なお正しく発音すると感激してくださり以後大歓迎というのを何回か経験しています。

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