P.D.Q.バッハ、もしくはピーター・シッカリーの死

P.D.Q.バッハか、そうね、1742年ライプツィヒ生まれね、J.S.バッハの21番目のこどもだね。とすらすら出てくる人はある程度以上の年齢であることがバレバレであり、しかもクラシック音楽をこよなく愛していたということがわかるのであります。

Peter Schickele, Composer and Gleeful Sire of P.D.Q. Bach, Dies at 88The New York Times

バッハの21番目の子ども、という表現でドッ!と笑いが起こるわけだ。

なんやそれは。取り残された人が殆どだと思うんですよ。つまりバッハには20人しか(20人しか!)子どもがいなかったということを知っている人でなければ、つまりある程度以上の知識がなければそのおもろさが通じないというわけ。インスタントな面白さが求められる現代においてはもっとも遠いところにある笑いなのかもしれません。

P.D.Q.っていうのも、C.P.E.という名前のバッハの息子がいるということを前提として知らなければ面白くもなんともないわけなんでね、困っちゃいましたね。私の一つ上の世代ぐらいの方になると(と狡猾にも自分を除外)、知らないことを知らないということがためらわれ、知らなかったことをあとから必死で調べて先輩諸氏に追いつく、みたいな流れってけっこうあったと思うんですよ。知らないという発言自体が恥、みたいな。それから考えると、知らないことは堂々と知らない、と言えるっていうのはとてもいいことだね。

話が脱線した。

つまりいかにもバッハの一族であるというような顔をしながら冗談音楽をやっていた、アメリカの一部界隈で有名だったおっちゃん、ピーター・シッカリーさんがお亡くなりになった、ということです。88歳で。なお、P.D.Q.というのはPretty Damned Quick(大至急)の略ですが、この略語がいまでもアメリカで通じるのかどうかは不明ですね。

P.D.Q.バッハを知らない世代の皆様におかれましてはYouTubeにいっぱい動画あるんで、探してみてください。お客さん大爆笑してるから。それにしても再生回数が少ないのは悲しい。もしくはそんなものだろう、と達観すべきなのか。

クラシック音楽でジョークを、というのがそもそも難しいのですねきっと。この壁を打ち破る人が今後出てくることはあるのだろうか。どうでしょうね。

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