リッカルド・ムーティ(81)、13シーズン音楽監督を務めたシカゴ交響楽団を退任

世界を代表するイタリア人指揮者リッカルド・ムーティ(81)が、アメリカ屈指のオーケストラ、シカゴ交響楽団の音楽監督の職を退任しました。2010年に就任。やめるわもう歳やし、こんどこそもうやめる、あ、でもやっぱり延長、とかそういうのがあって、結果的に13シーズンという長期にわたって監督を務めたことになります。監督としての最後のコンサートがつつがなく行われ、インタビュー記事も出たよ。

Riccardo Muti: ‘I don’t care about what’s politically correct, but about quality’ -El Pais
https://english.elpais.com/culture/2023-07-03/riccardo-muti-i-dont-care-about-whats-politically-correct-but-about-quality.html

もちろん今後も客演を続けるわけですけれども、監督としての最後のコンサートのリハーサルの合間に、おそらく和やかに行われたインタビュー記事を読むと、なにかを成し遂げて来た人物ならではの強い説得力に溢れているように感じます。仮に全く同じ事を私が言ってもみんな「あーはいはい」ってって流しちゃうけれど、ムーティが言うと「うむ!!実にためになる!!!」って説得されるから不思議なものだ。人間とはなんと情緒的な動物であることか。

ムーティのたまわく、

・ポリティカル・コレクトネス、政治的に正しいかどうかは気にしない、大切なのはクオリティだ。人種や性別で(採り上げる作曲家を)選んだわけではない。みな平等だ。差別するのは間違っている、だがクオリティよりも(政治的な正しさを)優先するのも間違っている。

・絶え間ない変化を続けるこの世界にあって若い世代を巻き込んでいくためにやるべきことがたくさんあるのは間違いがない。これはシカゴに限った話ではない。

・今日の音楽界においては、しばしば指揮者より奏者のほうが準備出来ている、というのが事実である。

・今日のオペラは、例外もあるが、残念ながら演出家の無能さ、準備不足、狂気の安売り状態にある。これは声について知らなさすぎる指揮者の権威不足とも関係がある。マリア・カラスは何もないところから生まれたのではない、トゥリオ・セラフィンによって作られたのだ。

この他にもめちゃくちゃためになる面白いことを語っているので原文にあたってみられることを強くお勧め。

なおムーティにはシカゴ交響楽団から「終身名誉音楽監督」の称号が与えられました。よくわからないタイトルですけれど、かいつまんで言うと「ありがとうこれからもずっとよろしく」って読めばいいんだと思います。

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 数年前、オーストラリアで地元のオーケストラを鮮やかに指揮されたリッカルド・ムーティの実演に触れた経験から、今回の記事を興味深く読ませて頂きました。特に、
    「今日の音楽界においては、しばしば指揮者より奏者のほうが準備出来ている、というのが事実である。」
    「声について知らなさすぎる指揮者の権威不足とも関係がある。」
    の件は、昨今、国内で若手の指揮者のこととして共感できるコメントです。
    一方で、原文の英語記事で触れられている、ウィーン・フィルとの演奏では、1975年に来日公演を行った際、並んで来日されたカール・ベームに、リッカルド・ムーティが決定的とも言える格差を付けられていたことを考えると、もっと長い目でその成長ぶりを見ていく必要もあるのかもしれませんが。

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