未成年の元生徒たちへの性的暴行疑惑で元パリ国立高等音楽院のチェロ科教授に求刑2年。

音楽のレッスンというものは多くの場合対面で、マンツーマンで行われるものです。密室で、防音室で行われる事も多く、学校のレッスン室という公共の場だけでなく、自宅でということもある。しばしばある。

これが何を意味するかというと、人間は性善説では語れないという話なんですけれども、教師と生徒の関係が性的なものへと発展する可能性がある、ということです。特に、著名な教師すなわち力を持つ側が、弱者つまり弟子やこれから出て行こうとする人たちに対して、性的な要求をし、それを弱者側が拒否出来ない、というケースに発展することがある。

野心に満ち「どんな手段を使ってでも有名になりたい」と思う若者が権力側にすり寄っていくこともゼロではないでしょう。しかしそれ以上に、力を持つ者はその権力を濫用しては絶対にならないのです。立っていると思う者は倒れないよう常に気をつけなければならないのです。常に、そしていつまでも。

日本の芸能界においてもこのところ複数の大きな話題がありますけれど、フランスでもそのような話題がいま出ている。

フランス随一のクラシック音楽教育機関であるパリ国立高等音楽院のチェロ科の教授だったジェローム・ペルノー氏はいま、セクハラと暴行で元生徒たち(男性3名女性1名、合計4名)から訴えられている。

Deux ans de prison requis contre Jérôme PernooDiapason
https://www.diapasonmag.fr/a-la-une/deux-ans-de-prison-requis-contre-jerome-pernoo-37470.html

Procès du violoncelliste Jérôme Pernoo: le parquet requiert deux ans de prisonLe Figaro
https://www.lefigaro.fr/actualite-france/proces-du-violoncelliste-jerome-pernoo-le-parquet-requiert-deux-ans-de-prison-20230527

当時15歳以下だった男性によれば、ロンドン滞在中のある朝、ペルノー氏が起こしに来て、抱きつき、性器を愛撫したとのこと。幼い頃に父を亡くしていたこの男性はペルノー氏のこと父親代わりだと考えていたとあり、そのショックは相当強かったでしょう。またある人は尻への平手打ち、キスの強要、性的なふれあいゲームを強要された。そして別の人は電車の移動中に胸をわしづかみにされたのだという。

現在裁判が進行中で、検察側から懲役2年が求刑された(うち1年は執行猶予つき)という話です。本人は全面的に否定。判決は9月26日までに出る予定だそうです。

被害を主張しているのは、当時いずれも未成年かもしくは成年して間もない若い人たちだったということで、これが事実なのであれば誠に許しがたい。この4人の中にはいま活発にチェリストとして活動している人物も含まれ、彼は当初教授を擁護していたが反対に転じたそうです。現在30歳のこの男性は15-17歳の間に暴行を受け、様々な愛撫を要求され、多数のメッセージを受け取ったのだそうです。

全面的にこれらを否定するペルノー氏は、2022年5月に音楽院を事前通知も補償もなく解雇され、お金もなくなり、誰からもコンサートのオファーが来なくなった、と語っているとのこと。ちなみにWikipediaによると2021年3月に「学生との関係を示唆するいくつかの報告」にもとづき、一度停職処分を受けているが同年7月に解除され復職していたとあります。

疑わしきは罰せずではないですが、もしも冤罪だった場合は本人の人生を狂わせたこととなり大問題となる。反対に告発が事実だったとすれば弁解の余地は全くない。 

慎重な審議が求められると思うのですが、この件のみならず、全ての音楽教育を含むあらゆる現場から性的暴行やパワハラがなくなることを願います。教師の方、あるいは高い地位にいる方々は自分の行動、言動を振り返ってください。何か思い当たるふしがあれば反省し、少なくとも今後は言動を慎んでください。

ダメです。絶対に。

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