パリのフィルハーモニー、聴覚障害者のために振動するリュック型のデバイスを導入へ

聴覚障害者だって音楽を楽しみたい、楽しんでほしい。ひたすらに素晴らしすぎる試みだと思います。

パリの音楽の殿堂、ギラギラに輝く俺たちのパリ・フィルハーモニーではSoundX社と提携し、音楽に合わせて振動するベストのような、バックパックのようなものを制作。来シーズン(2023-24)からの導入を目指しているそうです。

A la Philharmonie de Paris, des sacs à dos vibrants pour les sourds et malentendantsFRANCE 24
https://www.france24.com/fr/info-en-continu/20230516-a-la-philharmonie-de-paris-des-sacs-%C3%A0-dos-vibrants-pour-les-sourds-et-malentendants

本来はゲームのために作られたベストだったのだが、これは聴覚障害者にも用いられるものではないか、と思い至ったメーカーがまず素晴らしい。実際にこのデバイスは8ヶ月かけてパリのろうあ青年研究所の学生達と改良を重ねていったのだということです。揺れるから痒くなったりこすれて痛くなったりしないか、とかそういう点も研究されたんでしょう。

実はすでに音楽イベントではこれまで似たようなデバイスが導入されていたそうです(知らんかったがすごいことですね)が、残念ながら低音しか反映されていなかった。この新しいやつは0ヘルツから20,000ヘルツまでの音すべてをAIが分析し、それを反映することができるのだといいます。

そしてやがてこのデバイスはホールを出て、日常生活において「救急車のサイレン、クラクション、犬の鳴き声を区別できる」ようになる、のだそうです。すごいわ。

なおパリ・フィルハーモニーではこの機器はWi-fiにつながっていて、タブレット1台から全てコントロールされるようになっているとのことです。もちろん利用料は無料で、かつチケット代金も20%引きになる予定とのこと。

どういう風に振動するのか、音の高さをどうやって振動で実現するのか?このデバイスを使った音楽体験がどのようなものなのか?とても気になります。上半身への振動+視覚でどのように音楽を、とくにクラシック音楽を体験出来るのか?という点が想像力をかき立てられる。

今シーズンは引き続き技術面などの調整に専念し、2024-25シーズンのコンサートの多くにおいてこのデバイスの導入が期待されている。

なおフィルハーモニーではコンサートを手話に翻訳するという試みもするようです。「聴覚障害と音楽体験」と題し、世界の様々なツールや方法を採り上げるシンポジウムも今年12月に開催するとのこと。

素晴らしい。日本でも同様の試みを、ぜひ!!

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