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97歳の作曲家の最大の願いは3年前に亡くなった妻の「隣で横になる」こと

孤独なんだろうな、と思いました。

クルターグは世界でも広く尊敬される作曲家。いわゆる現代音楽と呼ばれるジャンルにあって、例外的に演奏されてきた人だと思います。クルターグが2018年に、8年かけて完成された最初のオペラ「勝負の終わり」はサミュエル・ベケットの不条理劇で、初演はミラノ・スカラ座。そのイギリス初演がBBCプロムスで行われた、その直前のインタビュー記事がザ・ガーディアンに出ていまして、とてもしみじみとした気持ちになる内容でした。

‘I compose to seek the truth’: György Kurtág on depression, totalitarianism and his 73-year marriageThe Guardian
https://www.theguardian.com/music/2023/aug/16/i-compose-to-seek-the-truth-gyorgy-kurtag-on-totalitarianism-depression-and-his-73-year-marriage?CMP=share_btn_tw#comments

滅多にインタビューには応じないそうですが、今回は特別な機会なので応じている、というところから期待が高まろうというもの。リゲティの生誕100年、そして自身のオペラのイギリス初演があって実現したインタビューだそうです。なお高齢のためスカラ座での世界初演も、3日前に行われたロンドンでの上演にも出席はかなっていない。

ちなみにこのオペラは休憩なしで125分の長さを持つそうなので、97歳で2時間客席に座るのは困難だろうなと思うんですけれど、そんな長大な作品を90代の人間が作曲できたのかとも驚きますね。そもそもがクルターグというとギリギリまで音を切り詰めたっていうか、短い作品が多いというイメージもあるので、そんな作曲家が2時間オーバーの作品を書くとは!という驚きもあるわけです。

ちなみにベケットの作品はチェスの終盤の意味を持つ作品で、チェスの戦い同様、終盤に向けどんどんと要素が削り取られて行くらしいんですけど(有名な「ゴドーを待ちながら」は読んだけどこの作品はしらないっす)、プロムスでの上演では耐えきれなかった客が次々と出て行ったらしく「メタ的であった」とイブニング・スタンダードが論評していました。

しかしガーディアンのインタビューを読みますと73年間一緒に過ごした妻のマルタへの愛情に溢れているところがぐっときますね(クルターグの妻マルタは2019年、オペラ初演の翌年に92歳で死去)。

クルターグ夫妻が演奏するバッハの動画↓

たとえばこのオペラが完成にこぎつけた唯一の理由は妻の助けがあったから、と言っているところ。今でも妻が自分とともにいて、耳を傾けている、という点、妻は世の中で起こっていることや新しいことに常に興味を持っていた、でももうそれもなくなってしまった、と回想している点。

そしてクルターグのいまの最大の望みは「マルタの隣に横になること」。

この作品がいつか東京でも上演される事を願いたい。

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