弦楽四重奏団やアンサンブルの「名前」問題

いま若いアーティストたちがアンサンブルの名前をつけようとなると苦労する、という話は時々しているように思うんですが、なんでかっていうと単純で、もう使われてしまっている名前が多いから。

そして今後、使用済みの名前は増える一方。仮にその名前の先行していた団体の活動はすでに休止、解散とかになっていたとしても「あ、それ俺らが使ってた名前や」「あの人らとおなじ名前やね」というようなことも起こりうる。商標登録をしてなんていうケースは滅多にないでしょうから被っていたとしても問題はあまりないでしょうし、まあしょうがないねと言えばしょうがないわけですが、ちょっと気まずいというようなこともあるかもしれません。

まあでもやはり、、、しょうがないですかね。人の名前だって同じ名前がいっぱいですもんね。奇をてらって変な名前にしたとしてそれでもなお、かぶることもあるもんね。

いま皮肉屋さんの評論家レブレヒトが採りあげてコメント欄が活発化しているイギリスの弦楽四重奏団があります。Vulva Voce という名前です。ヴァルヴァ・ヴォーチェ弦楽四重奏団と書くと何か美そうな響きがするし、なんとなくイタリアな雰囲気を帯びているようにも感じられる。

A STRING QUARTET NAMED AFTER AN INTIMATE BODY PARTSlippedisc
https://slippedisc.com/2023/08/a-string-quartet-named-after-an-intimate-body-part/

ところがこれ、すでにギョッとした方が居られるかもしれないんですが、Vulvaは女性の身体の一部を指す単語なのです。どういう意味か知りたい方は、ここには書かないのでググってください。画像がいきなり出てきて慌てるような事がないようご注意ください。

ちなみにVoceはイタリア語で「声」ですが、日本にも何度も来ているヴォーチェ弦楽四重奏団っていうの団体があるので、ヴォーチェだけだとかぶる。それにしてもこの名前、話題作りでやっているのか、問題提起をしたいのか、あるいは単にノリでつけただけなのか、意味を知らずに適当に書いたらとんでもない言葉だったというケースなのか。先日ザルツブルク駅前に(日本食店)と漢字で書いた服屋さんがありましてだいぶ私は微笑したのですが、それと似た感覚だったりするのか。

若い人というのは尖っていますから、いろいろ激論を闘わせた末に先鋭的な名前をつけたのかもしれない。彼らのウェブサイトをみますと、長年の慣習を打破する、先鋭的で新鮮な音楽体験を提供する、とあるので、どうやら意識的にこのような名前をつけたことが窺い知れます。しかし一度名前をつけてそれで動き始めると変更はそう簡単にはできないので、相当な覚悟でつけたのではないかとも思われます。

名前っていうのは大事です。そして憶えて貰いやすい名前、口にしやすい名前、口に出して心地よい名前というのがとても重要かなと思います。複雑すぎてもダメだし、あまりにも広く使われすぎている名前でもぼやけてしまってだめ。

では彼らのように一般的には口にするのが憚られる名前、家族の前ではちょっと、というのはどうなのでしょう。それはそれで引っかかりがあってよい、とすることも出来るかもしれないし、世の中の意識を変えていくのだ!という意味での意義もあるかもしれません。とはいえ変な人たちも呼び寄せてしまうのでは、という危惧もあり、昭和のおっさんとしてはちょっと気まずい、かな・・・。

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