去年の秋に、ウィーン国立歌劇場で暴れたお客様がおられました。
へえ、お客様は神様で・・・。
お客様はお客様です。神様ではありません。この件は本ブログでも書きましたが
どういう状況だったのかより詳しい状況などが明らかになりました。ドイツのタブロイド紙Bildが報じているところによりますと、お医者様じゃった。この医者の専門は消化器科、55歳、ドイツはバイエルン州のクリニックに勤務。
ARZT FÜR OPERN-RANDALE VERURTEILT – Bild
https://www.bild.de/regional/nuernberg/nuernberg-news/prozess-in-wien-arzt-aus-nuernberg-wegen-opern-randale-verurteilt-83530750.bild.html
タブロイド紙だけに盛ってるところもあるのかもしれませんけれど、それによりますとヴェルディ《椿姫》の公演中、210ユーロの席で事件が起こった。はじまって早々、第1幕の前奏曲の直後にこの医者はスマホを取り出して撮影を始めたのである。
隣の席に座っていたザルツブルク大学の名誉教授が撮影は禁止だと指摘すると激高。
「黙っていろ!ミンチにしてやる!」Halt die Fresse. Ich mach Hackfleisch aus dir!! と言ったのだという。殴るようなそぶりを見せ、教授たちを脅しにかかった。教授は恐怖に駆られたが公演は完売しており座席の変更はできなかった。
っていうか「ミンチにしてやる!」っていう脅し文句はドイツ語では常套句なんでしょうか。日本語は罵倒の種類が少ないとは言われるのですけれど、いやしかしミンチっていうのはなんかすごいな。シュワルツェネッガーやスタローンの映画(古い)とかそういう世界でしか目にしないような感じ。現実にこういう言葉を叫ぶことがあるのか、と妙なところで感銘を受けてしまいました。
さらに、ステージが回転して車が登場すると医者は「これは車のコマーシャルだ!」と叫んだ。
むちゃくちゃやりよるな。
スタッフがやってきて退場を促したが、医者はお金を払っているのだからと拒否(ありがちなパターンだなと思ってしまうのは私だけではないでしょう)。しかたなく警察が呼ばれ、4人の警官によって医者はつまみだされることになった。この間オペラは中断された。
医者は酔っていたのか?ビール2杯とコルドンブルー2皿食べた(チーズ入りのカツレツ、重たい料理)と供述しているとのこと。なかなかの健啖家であります。教授によると特に酔っている風には見えなかったということです。
隣の教授たちのことを考えると気の毒です。「怖かった。この事件の後、映画館に行くたびに隣にどういう人が座っているか見渡している」と教授は語っているそうです。ひょっとして教授の指摘の仕方が高圧的だったのか?ということも想像可能ですけれど、仮に万が一そうだったとしても反応が過剰なのはいけませんね。自分で自分の人生ぶっ壊してますやんか。
お客様は、お客です。
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