復帰へ?と、“はてなマーク”をつけるかどうか0.02秒だけ悩んだのですがつけませんでした。いやむしろ0.02秒でも悩んで申し訳ありませんでした。
「言霊」という言葉があります。私個人としてはこれをオカルト的な意味合いで使いたいのではなくて、口にした言葉に人の意識が引っ張られてそれが現実になる、あるいは現実が引き寄せられていく、というのはあり得ることだと常々思っている、ということです。
なので、特にこういう時は疑問符にするのではなくて、復帰する、と言い切った方がいいのです。ダニエル・バレンボイムは体調不良でここのところずっとコンサート活動から遠ざかっている。80歳の誕生日も無事迎えたが「コンサート活動への復帰は不可能だろう、特に指揮は無理だろう」というような言葉もあちこちから聞こえてきておりました。
しかし、不死鳥。フェニックス。バレンボイムは帰ってくるのである!しかも「第九」で!おおフロイデや!!
巨星が再び盛んに燃えるというのは絶対的に喜ばしいことなのです。公式に歌劇場のフェイスブックにも改めて31日、そして1月1日のコンサートを指揮する、と出ました。
本人が「俺、やるわ」と言ったのには間違いがなく、そこで劇場も「マエストロ、無理や」とか消極的な事を言うのではなく「やりましょう!」と積極的に応える。歌劇場側の大きな期待もここには含まれているのです。期待を込めて表明することで聴衆の、関係者の、そして本人の意思も鼓舞する!
https://www.staatsoper-berlin.de/de/veranstaltungen/konzert-zum-jahreswechsel.11116/#event-59664
大晦日に、という目標が生まれ、結果として体調は上向き、可能性も桁外れに高まるのである!やっぱりだめじゃった、ということになったら?なんて言ってはいけない。やっぱり戻ってきた!と言える事をひたすらに願うのである!それが言霊だ!ドーン!!
それにしても、先週そして今週と、シュターツカペレ・ベルリンを率いて来日するはずだったバレンボイム、代わりに来日したのはティーレマン。その来日ツアーに曲目解説の執筆、ツアー裏方として参加させて頂けたのは本当に光栄でした。どの会場も満席もしくはほぼ満席という熱量の高さ。演奏する側の熱量も高く、超ハイカロリーな日々でありました。歌劇場の公式サイトに最終日のスタンディング・オベーションは20分続いた!と書いてあるけど、そんなに長かったんか。感覚的には一瞬でした。それにしてもオペラシティのリハーサルで流れたトリスタンには震えました。
総括しますとこういうことになります:「下から来る指揮棒は強烈でした」。
しかし、こうしてバレンボイムが不死鳥のごとく戻ってきて、指揮活動を再開するとなるとそれはまた非常に喜ばしいことです。30年間ベルリン国立歌劇場を率いてきた功労者であることは間違いないし、劇場も、ベルリンも、ドイツも、ヨーロッパも、そしてアジアも沸くことは間違いがございません。
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