指揮って、ただ腕を振り回しているだけじゃん?と感じる人も多いですし、実際指揮者ってなんなの?っていう素朴な疑問をお持ちの方も世の中には多くおられることでしょう。つまり、指揮者がどんだけやばい職業なのか、知らない人がほとんどだと言うことです。お教えしましょう、指揮者とは「あらゆる危険が潜む」「地獄のような職業」なのだ。
ロサンゼルス・バレエは年末、危機に陥っていた。クリスマスに上演する《くるみ割り人形》の指揮者がいなかったのだ。なぜ指揮者がいなかったのかは書かれていませんけれど「いつもの指揮者がおらず、サブの指揮者でうまくいかなかった」とあるので、毎年振っていた指揮者が何らかの理由で来られず、サブとして控えていた指揮者がリハーサルを振ってみたところダメダメじゃったんで全員が絶望して天を仰いだ、と、恐らくそういうことなのではないかと想像致します。気の毒なサブ指揮者。ね、指揮って怖いでしょう?
で、コンサートマスターに(指揮者が急病で倒れたときなどはコンサートマスターが指揮をすることもある)、やってくれまへんか、と事務局?が頼んだがコンマスは即座に断固拒否、代わりに後ろに座っていたヴァイオリン奏者、アルメン・アナシアン(59)が出来るんじゃん?と指名したそうです。
突如名指しされたアルメン、ヨーロッパでは指揮をしたこともあったし、このバレエは何度も演奏していた。しかしバレエの指揮をしたことはなかったそうです。驚き、当惑しながらもリハーサルで指揮したところ・・・めっちゃええやん!!リハ後にさっそく振付師が(多分満面の笑みで)やってきて、5公演全部振ってくれと頼む。
3400席あるホール、5公演はすべて完売していてプレッシャーもでかい。だが結果は大成功!回を重ねるごとにさらにうまくいき、団員からやんややんやの大喝采となったということであります。
バレエの指揮って、いわゆる普通の指揮とは違う特殊な技術が求められるんですよ。ダンサーと息やリズムを合わせなければならないのであります。これ、指揮者なら誰だって出来るんじゃないのと思うでしょう?それが「恐ろしく出来ない」らしいんですよ。人から聞いた話だけど。
そんなアルミンのため、本人が指揮している写真が撮られ、印刷され、オーケストラ全員がサインを書いてプレゼントしたそうです。その写真は以下ページにあるので行ってきてください。
https://www.violinist.com/blog/laurie/20231/29478/
クリスマスに相応しい、ええ話や。
アルメンはこの後指揮者に転向するなんていうことが・・・・・・いや、あまり大それた夢は見ない方がいいかもしれませんが、そういうこともあり得るのかも知れませんね。
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