ニューヨークのメトロポリタン歌劇場は巨大な建物で、残念ながら空席も少なくなく、資金面でもこのところ厳しい感じになっていて、毎年基金から巨額の取り崩しを行っている状況。なんとかしなければと思いつつも、なかなかこれという有効な手が打てていない、という印象を受けます。本当に大変なんだと思います。対岸から眺めている我々は勝手に論評しているだけですが、現場ではいろいろな知恵が出し合われているのでしょう。
昨日ニューヨーク市が発表した新たな施策、それはなんと「毎月1万枚、年間合計7万枚を無料で招待する」という、Opera for Allと名付けられたもの。月に1万人とはかなり衝撃的な数字ではないでしょうか。これは全チケットのおよそ10%にあたるそうです。申込は抽選で、指定席(つまり立ち見は除く)、申込できるのは2019年以降一度もメトロポリタン歌劇場のチケットを買ったことがないニューヨーカー。つまり観光客、それからアメリカ人でもニューヨーク以外在住の人には権利がない。
どういう風に抽選するのか、ほか、まだ詳細はこれから決まるようですが、市内の公共施設などで告知を進めて行く。マムダニ市長は、今年の夏、高校生向けにブロードウェイやオフ・ブロードウェイのチケット2000枚以上を無料で抽選にて提供したということなので、その流れに乗っているということでしょう。
ただ、この無料チケット、本当に単純に無料で提供するのか、それとも市が買い上げて配るのか、そのあたりには触れられておらず、不明。そして「無料チケットで来たお客様が次回以降有料のお客様になっていただけるかというとそうはならず次の無料チケットが出るで待つ傾向がある」というのは世界的に見られるものなので、この7万枚が今後どういう結果をもたらすことになるのか、数万枚規模の無料券というのはなかなか例を見ないだけに、その動きが気になるところです。ニューヨーク市民は約860万人いるとされますが、2019年以降行ったことのない7万人、と絞るとけっこうすぐに対象者が枯渇してしまうのでは?という懸念もあります。
オペラ鑑賞はやはり敷居が高いので、その敷居を下げようということだとは思いますけれど、はたしてどういう結果となりますか。なお、この施策が発表されたあとメトロポリタン歌劇場のサイトがダウン。しばらく閲覧ができない状態がつづいたとあります。関心は高そうですね。


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