ユンディ・リと言えば2000年のショパン国際コンクールで優勝した初めての中国人。いま41歳。優勝後は国民的大スターになり、世界中をツアーし、気がつけばピアニストという枠を超えて、スーパーアイドルとなり、、、そして調子がおかしくなってしまった。
スターであるということの難しさ、しんどさ、精神的な負荷、そういうものはとてつもないのだと思います。我々のような凡人には全く想像も出来ない空前絶後のストレスがかかるんだろうなと思います。かつて私がホールで働いていた時にユンディのコンサートを実施した事がありますが、サイン会はものすごい長蛇の列、かつてないほどの人数でした。そして流れ作業のようにサインをしていく。いくら若いとは言えこれを毎回繰り返すのはしんどいだろうなと思ったものです(帽子やTシャツとかのグッズも販売していた、そしてそれがめちゃくちゃ売れていたのを憶えています)。
マイケル・ジャクソンにまつわる暴露本とか読んだ事がありますけれど、大スターになると周りにいる人たち、取り巻きの人々のことが信じられなくなるとかそういう事も書かれていて、実際にマイケルもお金でトラブったりすることもあったりなど、なんというか、金の匂いのするところに人が集まってくる、ということもあるのでしょうか、地獄の沙汰も金次第、とかそういう言葉も浮かぶようですが、本当にスターは大変だ。
2021年に逮捕されてしまったユンディは表舞台からすっかり姿を消していた。しかし、先月末にオーストラリアをツアーして、ステージに復帰した!そして来年4月にはいよいよヨーロッパツアーをするということのようです。アンコールのショパン、作品9-2がインスタに上がっているよ。
これだけでは完全復調かどうかは判断がつきませんけれど、スキャンダル前の演奏は本当にやばかった、荒れに荒れていただけに、この間にしっかりと立て直して来たことをピアノ音楽ファン、ショパン好きとして期待したい。
その昔、アメリカのマスタークラスで一緒だったという私の先輩ピアニストから聞いたことがあるのですが、ユンディの才能はとんでもなく凄かったのだそうです。ユンディはそのとき確かまだ10代で、コンクールで優勝する前のことです。ある日マスタークラスの講師から、ユンディがそれまで弾いたことのなかったショパンのピアノソナタ(2番か3番か忘れました)を翌朝までに準備して暗譜で弾きなさい、と言われ、「どうしよう」と言いながらも翌朝には本当にきちんと弾けるようになっていたそうです。
その「どうしよう」に自信が溢れていてムカつくんだよね!(笑)と聞いたのですが、普通そんなことできる人いませんから。それだけの才能に恵まれていたのだから、浮き足立つことなく丁寧な生活、練習をすれば再び浮かび上がることは可能でしょう。
応援する。
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