フランソワ・グザヴィエ=ロト、セクハラ疑惑報道を受けコンサートを降板、謝罪。

指揮者は権力を持つわけです。あらゆる権力はなんたらかんたら、という警句も世の中にあります。権力を持つ立場の人間は、それを笠に着るようなことがあってはならぬ、ということをひたすらに考え続けなければならないわけですけれども、そうはいっても人間だもの、必ずそれが完璧に遂行されるというわけではなく、そうだ、思い出した。立っていると思う者は倒れないようにしなさいとかいう、言葉がバイブルにあったよね。

ここのポイントは立っている人は、ではなく、立っていると思う人は、だったような気がする。それだけ人間は危ういっていうことだったか。

レ・シエクルの創設者であり、ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団のを率い、SWR交響楽団の首席指揮者兼芸術監督に2025年度から就任する予定のフランス人著名指揮者フランソワ・グザヴィエ=ロトが性的暴行で告発をうけ、急遽22日のシャンゼリゼ劇場でのコンサートを降板、代わりに振ったのはアドリアン・ペルション。なるほど。フランスのみならず、ドイツイギリスの新聞でも報道されているので、真偽不明のゴシップではないし、重く見られている、ということでしょう。

最近とあるフランス人スターファゴット奏者と雑談していて「ほんであなたさまのお好きな指揮者は誰でんねん」と問うたときに「ロトの音楽は素晴らしい」という言葉が戻って来て、ほーさよか!と思っていたところでもあったので、残念です。

具体的には7人が告発している。性的な内容のメッセージがオーケストラの女性メンバーに送りつけられ、のみならず陰部の写真が送られてくることもあった。レ・シエクルに参加する若い音楽家たちは、ロトからメールが来ても返信しないこと、というルールを教わっていたようです。送られてくるのは「通過儀礼」のようなもので、クレームをいうと仕事がこなくなるかもしれないので、気にしないこと、というのが上手いやり方として推奨されていたような感じだそうです。

なおフランス国立放送フィルの元コンサートマスターは実名で告発しており、「ヴァーチャルシャワー」に誘われたと語っている。ヴァーチャルシャワーってなに?ブレストみたいなもん?この文脈から行くと、性的な意味でのブレストですか。

本人はこの告発を認め「行き過ぎたことをいてしまったのなら、傷つけたかもしれない人たちに謝罪したい」と発言したという。ギュルツェニヒ管弦楽団のコンサートも降板。しばらく指揮活動を停止するようです。

立っていると思う者は、倒れないように気をつけなさい。コリント人への手紙第1、10:12。

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