先日、今年のベストコンサートが決まったとか偉そうに書いたことをここに深くお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。いやもちろんこれはこれで凄かったんだろうなと思いますけれど↓
ナンバーワン・コンサートはどこにある?サクラが満開の木の下の東京にございました。まあどういうことかっつーと、やっぱネットで入ってくるニュースもええけど、自分で聴いて体験するいいコンサートってのは別格ですっていうことです。すなわち、昨日のサントリーホール、東京都交響楽団。パトリツィア・コパチンスカヤの弾いたリゲティのヴァイオリン協奏曲(そしてその後のアンコール)。大フィルのハルトマンとラヴェルもえぐかったけど、昨夜もアドレナリンの解放がすごかったすわ。
コパチンスカヤがリゲティのヴァイオリン協奏曲を弾いた。それが卒倒ものの素晴らしさで、日本語には褒め言葉の語彙が豊富にないことをうらめしく思うぐらい、素晴らしかったんですね。そしてその後のアンコールがまた様々な意味で美しくて、流れるな我が涙と、自分に命令して涙を拭ったのでした。
まさかね、リゲティのヴァイオリン協奏曲を聴いてじーんと来るなんて事が起こるとは思ったことがなかったです。書くほどに小学生みたいな文章になりますけど、そして音楽において感動という言葉をほぼすっかり忘れっちまったぐらいにはよごれっちまっている私ですが、何年ぶりでしょう。ブラボーブラボーと客席から野太い声でおっさんが叫んでしまったのは。それほどまでの、引き込まれるなんかでは済まない強烈体験がございました。
へたするとあざとさや作為が鼻につく可能性もあるような没入型、憑依型の演奏スタイルにぞわぞわっと立つ鳥肌。ツツツ、ツーっとほおを伝う涙。えー、マスクの中に入ってめちゃくちゃ不愉快な感覚っての?
「ウィーン国立歌劇場はこのような日のためにある」とかいう、1970年代のカルロス・クライバー評がありました。それを目にしてグギギぐやじい、と私は思っていたわけですが、なんのことはない、私自身が同じような体験をしたんだと思う。サントリーホールは、東京のオーケストラは、このような日のためにある。
こんな強烈な体験をさせてもらって、コパチンスカヤさんほんまおおけに(なぜ突然関西弁?)。
今日の夜も同じプログラムが繰り返されます。もし、あー自分の人生、退屈だなー、と思っている方がおられたら、すぐに、瞬足で、即決で都響の当日券購入ページへと行くことを強く強くおすすめしたい。
https://www.tmso.or.jp/j/concert/detail/detail.php?id=3599
20年後30年後、あるいは40年後になってよぼよぼになった私は、若い世代の人々に向かって、あのな、コパチンスカヤがあのとき弾いたリゲティの凄さったらな云々。ま、せいぜい君らもそういう演奏に出あえたらええな、コカッコカッコカッ!!!て気味悪く笑って、若者から「おじいちゃんまたおんなじ事自慢してるのよ?ほんま恥ずかしいわ、やめて欲しいねん、入れ歯外れてるし」って言われたいと心底思う。
だから、これ読んだらみんな今すぐに、今夜の都響のチケットを買え!!!
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