「レアもの」という言葉の魔力はとてつもないものでしょう。特にあなたがお金を持っているのであればその誘惑はどんどん増していく。そりゃあ400円のワインか400万円のワインかと言われたら400万のワインの方が飲みたいよね。本音としては(誰です、興味ないとか言っている人は。自分に正直でありなさい。お認めなさい)。
他人の所有できない物を持っている、という事実は「人とは違う」ということを示せる格好のチャンスだ。スネ夫なら、のびたが汗をかきかきちんまりと集めている間にドン!と大人買いをして(子供だがな)自慢が出来る。
ま、そんな大人げないのは漫画の中の世界だけだとしても、現実世界だって実はそれに負けず劣らずそうなのである。レアものを所有している。高い物が目の前にある。それだけで人は嬉しくなるものなのでしょう。私だってそうだ。チロルチョコもいいが、マルコリーニもいい。
ニューヨーク、ロンドン、そしてベルリンにも拠点を構える超高級弦楽器を扱うオークションハウス「タリシオ」(https://tarisio.com/)は会社の長い歴史において史上最高額のストラド(1590万ドル)を含め数々の高級楽器のオークションに関わってきた。
そのタリシオ、今年の上半期の業績が絶好調なのだと言います。1999年にオンラインでのオークションを始めて以来史上最高となる2800万ドルの売り上げ(だいたい39.5億円ぐらい。前年比20%増し)。新規入札者の数は33%増加し、出品された楽器の94%が落札され、各ロットの平均価格は2万9000ドル(410万円ぐらい)で前年比なんと50%近い増なのだという。
Rare Musical Instrument Market Is on a Crescendo – PENTA
https://www.barrons.com/articles/rare-musical-instrument-market-is-on-a-crescendo-271258d
これは驚きであります。パンデミックでお金持ちがオンラインでの売買に慣れてきた、というのもあるんではっていうことだそうですけれど、購入者の多くはやはり音楽家ではないそうです。なぜなら値段が高くなりすぎて買えなくなったから。
うむ。本末転倒だな!
しかし彼らにも正当化の言葉があり、芸術家とパトロンとの「共生」の扉が開いたというのです。音楽家が「自分のために楽器を買ってくれるパトロンがいる」と相談にくることもあるし、パトロンの側から「音楽家を探すのを手伝ってほしい」と言ってくることもあるのだと言います。
パトロンと音楽家との関係は昔から本当に切っても切れないものなんですけれど、まあまあ繊細な話題でして「金出すんだから言うこと聞け」みたいなそういうことにもすぐなるんですよ。もちろんそうでない場合もあるでしょうけれど、そうなった場合はなかなかつらいところだなとは思うんですよね。危ういパワーバランス。
そのほか大金持ちのアマチュア、投資目的の人、また一緒に高いストラドを買うために資金をプールする人たち(絶対に喧嘩になるやつや)なんかもいるんだそうです。
お金持ちのおもちゃにならないことだけを願うのですが、少なくとも一部はそうなっているんだろうなー。ふざけんなと怒るのもいいけれど、怒っていてもどうにもしようがない。じゃあどうすればいいのか、を考えればいいんだね!!
そう、押してダメなら引いてみる。
ドラえもーん!!!!!(この解決策があった)
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