ものは言いようだなと思うんですよ。人間ですもの考えることはみなだいたい同じで、注目を集めるような名前、ストーリー性を感じる響き、そういうものが大好きなんですよね。売らんかな、であります。つまり、売ってやろうぜ、高く。買って貰おうぜ、なるべく高く。集めようぜ人を、なるべくたくさん。
そういうことなんですよ。
だいたいモーツァルトがお城に住んだことがあるんか。お城を所有していた事があるのか。ない。音楽家の息子に生まれたモーツァルトですもの、お城なんてとてもとても。私もザルツブルクの、モーツァルトが生まれたおうちと、若い頃に住んでいたお家の両方を見たことがあるけれど、どうひいき目に見ても「お城」とは呼べるような場所ではございません。場所的にはいいところにあって、それなりにすてきではありますけれど。
なのに「最後の城」とはどういうことか。ウソか!!待て待て落ち着け、つまりこういうことだ。モーツァルトの絶筆(未完)となったレクイエム、その着想の地というわけである。
レクイエム着想の地(いま私が考えた)というのもまた言い方だね。なかなかいいいい方だ。つまり、このシュトゥパッハ城というのはモーツァルトのレクイエムが生まれるきっかけとなった場所なんですよ。生誕の地、と朝日新聞には書いてあるけど、それはちょっと・・・。間違っていないけれど、少し違うような気もしますね。あ、でも着想の地だっておんなじようなもんか。50歩と100歩です。テヘ。
このお城がいま競売にかけられているんですよ。建物の床面積は2500m2!土地のサイズは1万5000m2!夢のような豪邸だ!いや、もはやこれはお城だ!(お城です)。価格はお問合せ下さいとなっていますが、朝日新聞によれば16億円ぐらいではないかとのこと。意外と安いね。でもね、ランニングコストのことも考えてね。毎年どれぐらいお金が必要になるのか。そのへんのことも考慮してから、オークションへ参加されることをお薦めする。詳しくはサザビーズのサイトへ行ってください。
Schloss Stuppach – Sotheby’s
もう少しストーリーを話しておくと、ここに住んでいたヴァルゼック伯爵という人が、自分の妻が亡くなってしまったためレクイエムが欲しい、と思ったのであって、それを誰かに頼まんか、と思って、モーツァルトにお願いした、しかも前金でドン!と半額を払い、完成したら半分を支払う!ドン!という好条件であった。モーツァルトは書いている途中で亡くなってしまうわけだが、妻のコンスタンツェがこっそりとジュスマイヤーとかの手を借りて完成させ、ちゃっかりと残りの半分ももらったわけだ。借金に苦しむモーツァルト家にとって素晴らしい収入となったのである!!
ヴァルゼック伯爵は騙されてかわいそう?大丈夫、伯爵はこのレクイエムを自分の作品と偽って発表することになっていたので、同情は不要だ。つまり、こちらも50歩と100歩ということになる。
なお、サザビーズによると12月14日に売却者が決定するという。
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