協奏曲のあとに客席から投げ入れられたもの

Photo: The Strad

一昨日、神奈川県立音楽堂に行きまして素晴らしいイアン・ボストリッジの歌曲を堪能いたしました。終演後に1列目の女性が舞台に歩み寄り。見ると何やらビニール袋をぶら下げている。これは出てくる、何かが・・・!と思ってドッキリしたわけです。何が出てくるのか・・・!!

そうしたらとてもセンスの良い小ぶりの赤い花束(遠目だったので何の花だったかはわかりませんでしたが、バラかな?)だったので、ほっと安堵するとともに、穏やかな笑顔になれました。センスあるわ。めちゃくちゃ映えたなあれは。笑顔で受け取ったボストリッジと、一言二言声を交わした二人の姿を見て会場中が笑顔になったではないかと思います。

どうも職業柄と言いますか、こういうシーンではつねに悪い方向に意識がパッと行って、なにかが起こった場合の対処どうする、とかそういうのがぐるぐる頭に巡ります。ただ、開場直前にはだいたいスタッフ打ち合わせっていうのがあって、プレゼントがあれば受付で預かる、とかプレゼントは全面禁止、とかそういったことが確認されているものです。ダメとなっている場合、舞台に人が何かを手に歩み寄ったら即座に案内の係の人がその一つに近づく、というような段取りになっていることも少なくはなく、そういう意味で先日は目立った動きがなかったので、ひょっとするとそもそもお客様からお申し出があって、どうぞどうぞ、ということになっていた可能性も少なくないわけです。きっとそうでしょう。日本の段取り力は半端ないから。

一方で1月17日、ミュンヘンでチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲をロイヤル・スコティッシュ管と演奏した台湾のスターヴァイオリニスト、レイ・チェンが演奏した後に客席から投げ入れられたのは、ブラジャー。え?そう、ブラジャー。

オケもびっくり、本人もびっくり。これにストラドクラシックFMも反応。さすがのヨーロッパ人もびっくりですわ、っていうか、ト音記号の刺繍入りブラジャーを投げ入れるという行為はいったいなにを意味するのか。まあ落ち着けって、と言いたくなりますが、でも同時に

若いな!

とも思うわけです。年齢が若いのか、気持ちが若いのかはわかりませんが、いずれにせよ若いということはいいことだ!クラシック音楽の未来はそういう若い人、気持ちの若い人が担うのだ。若い人がもっとあつまる、そういう場所をどんどん提供できればいいなと私も思っています。

頑張ろうぜ。

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