ポリーニのザルツブルク音楽祭のリサイタルが開演直前に中止

マウリツィオ・ポリーニは今年1月で80歳。ショパン国際コンクールにおいて審査員の全員一致で優勝したのは1960年。もう62年も昔のことなのです。鋼のようなテクニックはすでになくなって久しいですが、「ポリーニという人そのものを聴く、体験する」それが実現している稀有な存在であります。そして世界で最も有名な音楽祭の一つ、ザルツブルク音楽祭にデビューしたのは1973年。49年も前だそうです。来年で50年。実にすごいことだ・・・・。

いやしかし私の祖父母の金婚式(結婚50年)を祝った時私はまだほんの子供で、じいちゃんばあちゃんすごいなーと思いましたけれど、コロナ前には私の両親も結婚50年となり、うむ、どんどんこうして時間は流れていくのだと思ったものであります。私にも子供が出来るなんて、祖父母50年の時にはまったく想像すらかなわなかったものだ。

昨日っていうか、いまから数時間前ですね、ザルツブルク祝祭大劇場で予定されていたポリーニのリサイタル、ユニテルとNHKの共同プロダクションで収録が予定されていて、そして記念品が公演後に授与されることになっていましたけれど、なんと開演直前にドクターストップで急遽キャンセル。

https://scherzo.es/maurizio-pollini-cancela-subitamente-en-salzburgo-por-problemas-cardiovasculares-agudos/

https://slippedisc.com/2022/08/just-in-maurizio-pollini-suffers-acute-heart-problem-at-salzburg/

原因は「急性心不全」。ポリーニは病院に搬送されたということです。

満員の聴衆に向かって、音楽祭の監督であるマルクス・ヒンターホイザーが中止を宣告。本当にギリギリにストップがかかったのでしょう。収録も当然中止。満員だったという聴衆も残念、関係者一同もがっくりでありましょう。テレビの収録というのはとてつもなく手間暇やお金がかかるものなのですが、その経費も流れてしまうことになります。もちろん、ご本人が一番無念でしょう。速やかなご回復をお祈りします。

ていうか、プログラムがすごくてですね、ベートーヴェンのバガテル1曲+28番+29番《ハンマークラヴィーア》っていう内容だったんですよ。28番もやばいなって思いますけど、80歳で《ハンマークラヴィーア》を弾こうっていう精神力の強さがすごい(40分ぐらいあって、最後に鬼ムズの激烈フーガが待ち受けるド難曲なんですわ)。

次のコンサートの予定は10月7日、シカゴでムーティとモーツァルトの27番の協奏曲を演奏することになっているとか。もうそんなにたくさんコンサートしていないんですね。それがいい。1ヶ月半、ゆっくり休んでください。

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