電車、船、電気自動車

ソ連生まれのドイツ人ヴァイオリニスト、アリーナ・ポゴストキーナが「仕事のために飛行機に乗らない」宣言をして、日本での来日公演をキャンセルしました。決まっていた分については出演すべきであろうという声もあります。しかし本人のFacebookを見ますと、決まっていて発表された分もキャンセルするのは「自分の気持ちに正直ではないから」ということだそうです。

あなた一人が飛ばなくなったところで飛行機は飛び続けるのだから同じだ、とイヤミを言う事も可能ですが、そうやって誰かが声を上げることで世の中が変わっていくのであるとすることも出来る。

そして本人は恐らく善意と使命感で決断、行動されているので、何か日本側から言ったところで考えが変わることはないでしょう。考えが交わることもないでしょう。こちらは「そうなんだ、そうなんだね」と言うことしかできないと思うんですよね。

世の中にはいろいろな考えがありますけれども、グリーンに向かうという考え方は欧米では一種トレンドのようになっていて、音楽家の間にもできるだけ環境にやさしく、という考えは確実にあると感じます。「ヨーロッパ内ではできるだけ飛行機を使わない」とする人たちもいますし、オーケストラのような大きな団体でも、移動はできるだけ飛行機ではなく電車で、その分自分たちに負担がかかってもよい、とするところもあります。

ただ、問題が一つだけあって、アジアは遠いんすよ。なのでアジアやアメリカに行く場合は飛行機に、という判断が現状では多いかなと思います。

飛行機NGであれば電車と船を乗り継いで、ということになり、めちゃ時間がかかる(なおリヒテルはそうしていました。この話は実際にシベリア鉄道の終点で「リヒテルさんの到着を毎回ぽつねんと待っていた」というマネージャーの方から話を直接伺ったことがあります)。今はシベリア鉄道を使う(ロシアを通過する)わけにもいきませんから、全行程で船で行かざるを得ないかもしれない。そうなると多分、片道1ヶ月半とか2ヶ月とかかかるわけです。これは全く非現実的ですね。

なので、じゃあアジア行きは(たぶんアメリカ行きも)なしね、コンサートは電車や船で行ける範囲だけ、ということになる。これは残念。

飛行機は電車や船などと比べた時に「よりグリーンではない」という意味でターゲットにされているのだと思いますけれど、電車や船も厳密にはグリーンではないですし、自宅で夜に照明をつけることや、冬を乗り越えるためにガスストーブを使う、などと言ったことさえ、グリーンではない。なお電気自動車を使うことも、実は化石燃料を使って発電されていたりするので、グリーンではない。

とはいえ、このように揚げ足をとりに行くのではなく、世の中が再生可能エネルギーに向かって行こうよと提案していくことが建設的、ということでしょうか。「再生可能エネルギー」が廉価で世の中にぶわーっと行きわたって、飛行機もそれで飛べるようになれば解決するのか。現実的にそういう日がいつか来るといいのですが。

今夜は各地にサンタクロースが来るはずで、うちにもスプラトゥーン3やすみっこぐらしの凧が届くのだろう。サンタクロースに関して言えば、化石燃料では飛んでいないから大丈夫だ。

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