これはなかなか劇的な。キャンセルという言葉そのものが劇的な響きを持ちますが、このキャンセルはなかなか劇的だと言えましょう。
どういうこっちゃ。つまり、キリル・ペトレンコが今日からのウィーン・フィルとの4公演を突如キャンセルした。つまり、これは公演に向けてリハーサルをしていたがやめちまった、と言うことではないですか。詳細はわからない。ウィーン・フィルの公式サイトには健康上の理由と出ていますね。
ペトレンコがウィーン・フィルを指揮したのは多分これまで1回だけ?ではなかったでしたっけ。つまりいろいろな意味で待ち望まれていた公演、しかもレスピーギのローマ三部作という、超絶最高プログラムだったわけ。オーケストラの魔術師レスピーギのゴージャスな音楽がペトレンコの魔法でババーン!ドーン!ドガシャーン!!
・・・なはずだったのに。これはひたすら残念と言わざるをえない。
そして代わりに入ってきたんがティーレマン。演目も全取っ替えで、ワーグナーとブラームス。いわばオーケストラにとっても指揮者にとっても十八番のプログラムなので、リハゼロでも、あるいは一回だけでもどうにでもなるといえばなる。そしてきっと素晴らしい演奏になる。
お客様が納得するペトレンコの代役を直前に見つけるのは困難。二日酔いの若手にバーン!とやらせセンセーショナール!(バーンスタインの場合)というのは、ニューヨークではできたかもしれないがウィーンではなかなか難しいですかね。
関係者一同「うっそーん!」と絶句して、ほなどうする、と悩んだ挙げ句のティーレマンということになりますか。これはさすがに関係者ご一同に同情する。公式サイトにはボグダン・ロシュチッチの協力に感謝する、と出ているので、ロシュチッチが動いた結果ティーレマンに決まったということですね。
ペトレンコがウィーン・フィルに戻ってくることはあるのか、次はいつなのか。ペトレンコはカルロス・クライバー的な存在になりつつあるのだろうか?
コメント
コメント一覧 (1件)
レスピーギのローマ三部作をウィーン・フィルの演奏、ペトレンコの指揮で聴けるということを期待していた方々は、とても多かったと思います。今回のキャンセルで、2週続けて同じ指揮者で同じ曲を聴くことになってしまったことが影響したのか、空席があるとのことが他のブログで見かけました。
個人的には、1982年8月、ザルツブルクで急遽実現した、テンシュテット指揮の緊迫した素晴らしい演奏を思い出すと、他の指揮者でできなかったのか、少し疑問に感じます。
一方で、シチュエーションは、異なりますが、先日、日本で起きた、演奏曲目を変えずに、無理やり済ませるようなことは、避けて欲しいですが。