ポーランド国立放送交響楽団の日本ツアー

昨日最終日だったポーランド国立放送交響楽団(指揮:マリン・オルソップ、ピアノ:角野隼斗)とのツアー11公演中10公演に裏方として参加させていただきました。

全国11公演がすべて満席もしくはほぼ満席という大人気ツアーで、各地の満席のホールを裏から眺めるという素晴らしい光景を毎回堪能させていただきました。

それに加えとても驚かされたのは「各地会場の雰囲気の良さ」でした。すごく、なんというのでしょうか、迎え入れられている、という印象があったという気がしています。強く。それがよく現れていたのが全国各地でのスタンディングオベーションかなと思います。

各地でスタンディングオベーションは前半終了後、そして後半の交響曲の終了後の両方で起こり、しかもこう、なんというのでしょうか、「隣の人が立ったから自分も立つわ」とか「前の方の人たちが立ったから」みたいな、右に倣え的なといいますか日本人的なといいますか「なんとなく空気読んどこか、君も」みたいな感じではなくて、“ふわ~っ”と皆様一斉に、重力の法則を無視したかのようにお立ちになる会場が多かった。そのように感じています。

そして熱狂的に目をギラギラさせ額には脂汗が光る、興奮の極地!という類いのものではなく、あたたかさや親密さを第一に感じさせる雰囲気でのスタンディングオベーションだったのではないか。これがものすごく気持ちがよかったです。オーケストラが退席するあいだもずっと大きな拍手に会場が包まれていたのもめちゃくちゃ印象的。「客層がいい」とか「客層が悪い」とか、そういう個人的にあまり好きではない表現があったりしますが、偉そうに私が言うのもおこがましいですが、あえて表現するなら「二重丸」もしくは「花丸」だったと思います。

大人気ピアニストである角野さんの演奏が聴きたい!と思ってお集まりになった方も多いと思うのですが(実際、松本公演の終演後、マリン・オルソップと私が駅のホームで特急を待っていたところ「今日で4回目です!」と仰るおっかけとおぼしき女性の方に遭遇しました)、角野さんが終わったらおしまいで「あとはおまけ、惰性で聞いてるわ」みたいな感覚ではなかった。最後まで皆様が音楽を楽しまれていたように見受けられたのはとても素晴らしい。

これには本当にオーケストラのプレイヤーも事務局も、オルソップさんもものすごくうれしそうにしていました。これこそが真の「お・も・て・な・し」というやつだな、と一人キシシシと舞台裏でほくそ笑んでいたのである(キモい笑い方すな)。

ヨーロッパと日本とではコロナに対する考えというのでしょうか、マスクや消毒などに対する意識とかは全然違うと思うのですが、日本側の要望に合わせオーケストラの皆様には対策を徹底していただけまして、安心と安全の中ツアーが完走されたことも本当にすんばらしいことでした。今後またコロナ前のように、あるいはそれ以上にオーケストラやクラシック音楽のツアーが充実し楽しいものとなる、その先駆けとでもいうべき象徴的なツアーとなったのではないだろうか、と勝手に考えております。

このツアーにお集まりになった方々がより広く多くクラシック音楽のコンサートに足を運んでいただくことを心より願っております。

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