ドイツの指揮者コンクールに応募者350名殺到

ドイツのバンベルクで3年に一回開催される指揮者のためのコンクール「マーラー・コンクール」というものがあります。これはいわゆる指揮者の登竜門の一つとして知られるもので、出来たのはそれほど古くなく2004年からということなんですけれども、第一回の優勝者がドゥダメル、という時点でお察しください。

あっ。

そう。注目のコンクールです。

the mahler competition
https://www.themahlercompetition.com/

なお第3回の優勝者がイスラエル・フィルを率いるラハフ・シャニ。第4回がカーチュン・ウォンです。なんてこった。それだけ有名な人が出てくる可能性の高いコンクールといえましょう。ただの偶然かもしれないけれど、偶然にしてはできすぎじゃ内科医?それとも外科医?

来月第7回目が開催されるのですが、募集をかけたところ希望者が350名も集まったということで、私はやばいなと思ったんですよ。これは殺到と言っていいのではないかと思います。世の中に指揮者という職業で成功したい、と思う若者が沢山いるということですね。素晴らしいことだ。指揮の未来は明るいのかもしれない。

指揮者という職業はとてもつらい職業です。自分は腕を振り回すだけで音は出さない。他人に、しかも大勢の他人に演奏していただくわけですから、爆発的な音楽の才能だけでなく他人にどのように演奏していただきたいかを伝える技術、コミュニケーション能力が求められる。口八丁手八丁。

以下に一例を示しますね。

「ここはテレーゼ、テレーゼ!と弾いてください。ああっ、だめだだめだ。キャンセルします」(カルロス・クライバー)、「ここはマゼール、マゼールと弾いてください!そう!!」(代わりに呼ばれたロリン・マゼール)。

なんのこっちゃ。

いかに超絶天才指揮者であったとしても、オーケストラ奏者から「あいつは気に入らねえゴニョゴニョ」、といった陰口、あるいは表だった批判、そういうものが必ず出ます。名前は伏せますが、ベルリン・フィルとも何度も共演しているピアニストがある時言っていました。「ベルリン・フィルの指揮者は例え神様がやったとしても批判が出るだろう」。

それだけ難しいんです。じゃあどうしてそんな難しい仕事をしたいの?簡単なことです。どうして山に登るのか?そこに山があるから。どうして指揮するのか?そこにオーケストラが・・・・!!ババーン!

というわけで、350名の若者たちが難攻不落の職に挑む!!さすがに350人にあつまってもらってっていうのは無理なんで、ここから書類審査で一気に絞られるので実際に参加出来るのはもっと少数です。通常は14名のはずがあまりにも今回その数が多く、興味深そうな若者が多かったのでしょう、大幅に増えて20名に増員になりました。増員分の費用負担はコンクール側が持つ(参加費、交通費、宿泊費はすべてコンクール負担)ということなので、コンクール側の並々ならぬ意欲も感じ取られるわけです。

馬鹿テク、化け物が発掘され、キャリアが伸びていくことを願いつつ、本日も私は朝からお出かけしてきます。満員電車は大嫌いだ!!(始発駅なのでたいてい座っています)

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