ミラノ・スカラ座で「海のオーケストラ」コンサート

海のオーケストラとはいかに。

これだけをきいて何を思い浮かべますか。海(船)の上で演奏する?海にまつわる音楽をオーケストラで演奏する?いいえ、海を走る乗り物で音楽をする。

言っている意味がよくわからないな。そうでしょうそうでしょう。

どういうことかというと、船ですね。お船から弦楽器を作って、それでコンサートをするというプロジェクト。しかもただの単なるお船ではなくて、北アフリカらからヨーロッパへの渡航を試み、残念ながら到着することが出来ず命が失われてしまった、そのような難破船というのでしょうか、その船の廃材から楽器を作る。それでコンサートをする。

ミラノ・スカラ座でこういうプロジェクトが行われたとは知りませんでした。

ニュースによると、地中海の中央部というのは、世界で最も死者の多い移動ルートで、昨年は2498名が命を落としたと。

しかも楽器を作ったのは、受刑者。日本でもありますよね。刑務所の中で作られた家具なんかが世に出ることが。今回のプロジェクトでは難破船から受刑者たちがヴァイオリンを作った。色はあえて塗らず、船で用いられていたペイントがそのまま。一生塀の外に出られない人たちが、たどり着けず亡くなってしまった人たちの希望の、そして絶望の船から楽器を作るというのはものすごいことだと感じます。

そして今週月曜に行われたスカラ座でのコンサートで演奏したのはセルゲイ・クリロフやマリオ・ブルネロ、ジョヴァンニ・ソッリマほか。ものすごい面々や。

このプロジェクトの紹介動画はこれ。実際に完成された楽器を弾いてみせている。

楽器を作成した受刑者たちもスカラ座でこのコンサートを聴いた、しかもロイヤルボックスで、ということなので、これまたものすごい取り計らいだ。人生とは何か、生きることとは何かを強く考えさせられるイベントだったのでしょう。写真はゲッティにたくさんある。きらびやかに着飾ったゲストたちの写真もあって、それはそれでなんか考えさせられる。

このプロジェクトが世界中で行われる事を希望すると書かれているので、日本にも上記演奏家経由で話が来ているかも知れませんし、それが現実になることもあるかもしれませんね。

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