ジュリアード音楽院の作曲科のトップを務めるロバート・ビーザー、セクハラ疑惑で休職

© Don Ramey Logan (CC BY-SA 4.0)

作曲家で、ジュリアード音楽院の作曲科のトップを務めるロバート・ビーザー(68)が先週の金曜日に休職に入った理由は穏やかではない。

これまで長年ビーザーのセクハラや不正行為が疑惑の目で見られていたところ、ベルリンのVANマガジンが6ヶ月かけ調査をした長文の告発文を先週12月12日に発表し、音楽院で調査が行われはじめた。

https://www.washingtonpost.com/arts-entertainment/2022/12/18/composers-open-letter-juilliard/

グラミー賞やピューリッツァー賞を受賞した作曲家の故クリストファー・ラウズに関する告発、あるいはジョン・コリリアーノの女性差別疑惑も取り沙汰されているそうですが、特にロバート・ビーザーに関する大量の申し立て、証言、証拠が出てきたということで、音楽院側も大変憂慮し独自の調査を開始した、と。

そして作曲家、音楽家、教育者など音楽シーンを牽引する450名もジュリアード音楽院に対しビーザーの「数十年にわたる女性への暴行、権力の濫用」を訴え、処分を求める公開状に署名している。

VANマガジンを読むと、少なくとも4人の女性作曲家が、1990年代後半から2000年代前半にかけてのビーザーに対する疑惑は学科内の「公然の秘密」だったと語っている。

ある女性作曲家(ビーザーの元生徒)の告発によれば、ビーザーは彼女に有望なキャリアのチャンスを提供したあと、その見返りとして性的な行為を得ようとした。「何をしてくれるの?」と彼女はビーザーに聞かれた。「私は作曲は男性の分野だと知っていたし、そうではないことを示唆されたこともありませんでした。そしてどう振る舞えばいいかも知っていた。だからそれを受け入れ、できる限り現実的に対処した」。

なお、ビーザー本人は疑惑を否定している。

想像や予断で語ってはいけませんので、ビーザー氏に関して疑惑が晴らされるのであれば晴らされてしかるべきですし、疑惑が事実だったのであれば、しかるべき処分が下されるべきでしょう。

なんにせよ、力を持つ者がチャンスをうかがう若者を食い物にするというのは絶対にあってはならないわけで、それは作曲や音楽というジャンルに限らずあらゆる分野で、上に立っている人であれば男性女性に関わらず常に意識しなければならないことだと思います。

女子大でピアノを教える私の友人(男性)がかつて言っていた「学生には指一本触れないようにしている。セクハラと言われたら首が飛ぶ」という言葉が思い出されます。この言葉は重いし、いつまでもその姿勢を崩してはならないと思うのです。

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