先日来日したイタリアの若きピアニスト、フィリッポ・ゴリーニがフランコ・ブイトーニ賞を受賞

ビバ・イターリア!

私が10年ほど前にミラノ発パリ行きの飛行機に乗った時、やたらと客室乗務員のおっちゃんのノリが良くて、ぺちゃくちゃ喋りまくった挙げ句に発した一言である。私は思わず吹き出してしまった。

なんという直球勝負。そこがイタリアの良さだね。

イタリアには何があるのか。と問うた時に、様々な答えが返ってくることは当然のことです。しかしボルレッティ・ブイトーニ、いや、ブイトーニ・ボルレッティだったかな、ともかくどっちかの賞がある(ただし団体そのものは英国にあります)ということは、知っておいて損はないと思います。これはボルレッティさんとブイトーニさんという裕福なイタリア出身のパトロンご夫妻がやっている若いクラシック音楽のアーティストのための賞で、どちらのお名前もスパゲッティのブランド名みたいに響く素晴らしいお名前であることだよなあと常々私は感嘆しています。この賞を受賞して有名になっていく人も少なからずいます。過去の受賞者は公式ページを見てきて

で、夫のブイトーニさんは2016年にお亡くなりになっていて、その亡き夫を記念して、それまでになかった、室内楽をがんばっている人、できればイタリア人を表彰しようじゃ無いかということであらたに2017年に創設されたのがフランコ・ブイトーニ賞です。賞金は25,000ポンド(400万円ぐらい)です。

第1回の受賞者はクルターグ夫妻、第2回目がクレモナ弦楽四重奏団、第3回目が作曲家のシルヴィア・コラサンティ、そして、3月17日、フランコさんの誕生日に第4回目の受賞者が発表されて、それが先日アレクサンダー・ガジェヴの代役として日本にやってきたフィリッポ・ゴリーニ。

https://www.bbtrust.com/franco-buitoni-award/about/

ピアニストなのに室内楽の賞け?とか思われたかもしれません。そうなんです。なぜ受賞したのかというと、これがとてもユニークなんだね。

2025年から7つの都市に1ヶ月間ずつ滞在して「Sonata for 7 Cities」というプロジェクトを実施するというのであります。どういう内容かというと、あちこち世界の大都市を飛び回ってバンバン演奏をするのではなく、一つの都市にじっくりと腰を据えて、そこでリサイタルや協奏曲をやるだけでなく、アウトリーチや、地域のコミュニティに出かけていく。これまで音楽を聴くチャンスを享受できていなかった聴衆を対象としたコンサートを、これまでになかった会場で実施するなど、様々な活動を集中的にしていく、それによって単発ではなしえないインパクトを目指す、というもののようです。すでにミラノ、ウィーン、バンクーバーでの開催が決まっていて、あと4箇所を選定中ですよと。

言うは易く行うは難し、を地で行くようなプロジェクトで、しかも、まだこれから2年後にスタートする、そういうプロジェクトに対して賞が受賞されるというのは、なかなかユニークですね。賞っていうのは通常なにかを成し遂げた人に対して贈られるもの、それが、これからの人に贈られるというのだから、賞のかたちというか存在意義みたいなものもこれから変わっていくのかもしれない、なかなかこの賞自体がインパクトがある、そういう風に感じています。また国際的ピアニストの活躍のしかたというものも、これから変化していくのかもしれない。大変興味深い。

ゴリーニは端的にいって素晴らしいピアニスト、という評判も聞こえてきています。さらなる飛翔とますますのご活躍を!!板垣さんどうぞよろしくぅ!!(と無駄に煽ってみる)

プロジェクトに関する最新の情報はノヴェレッテへ:

シューベルトのト長調のソナタ。いま聴きながら書いてますが、なかなか素晴らしいすね:

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