バイロイト音楽祭が幕を開けたようです。伝聞推定なのは、実際に自分が行ったわけではないから。今日もアームチェア探偵、いや、こたつ記事であります。
「こたつ記事」っていう言葉、古いからそろそろアップデートしないといけないね。そもそも自宅にこたつのあるお家は少ないのでは?っていうのもまた私の主観、推測。推測で物を書くと「ソースは」と言われる時代です。ああせちがれえせちがれえ。ムーの楽しみはどこへ行った。昭和のおっさんの嘆きでしたらどうぞあちらへ。さいなら。
バイロイト音楽祭の今年の大きな悩みは、その演出というかメガネ。グラスが用意されていて、それをかけるとぶわーっときれいなビジュアル世界が広がるっていうやつなんですよ(感想には個人差があります)。それはまあ、ディズニーランドにキャプテンEOとか(古くてすまん)昔から似たようなんがあったけど、あれはメガネかけたら画像が飛び出る的な感じ。このメガネはきっともっと進んでいて、積極的にメガネが映像を映し出して、ざざーっと、だーっと行くんだろうなと思っています。また推定で、しかも雑でごめん。
しかしそのメガネに問題がある。私はこのメガネ、めっちゃ面白そうや!と思ってるんですけれど、観客の全員に貸与されるのではなく、ごくわずか330人にしか渡されない、というところなんですよ。バイロイトの座席数はというと2000席弱なので、20%にも満たない。
At Wagner’s Festival, New Technology Reveals a Leadership Rift – The New York Times
https://www.nytimes.com/2023/07/24/arts/music/parsifal-augmented-reality-bayreuth-rift.html
なんでか。これは音楽祭の内部のごたごた、あるいはスポンサーとの意見の食い違いなんかによってそういうことになった、ということがニューヨーク・タイムズ紙に書かれていました。「このメガネに資金を提供する寄付者たちは50年前自分たちが若かった頃の演出を望んでいる」「全員分の資金を提供しないとかジョークだろ」とかいう演出側サイドの発言が載っています。なるほど、どうやら資金提供者がメガネをかたくなに拒否したと。妥協案として330で決まったと、そういうことのようだ。
これは残念。聴衆はおいてけぼりだ。自分たちの政治闘争によって聴衆の楽しみが台無しになってしまうという状況。これはよくないですね。ごく一部の人しか希望しないオーディオガイドとは話が違いますもんね。
もちろんメガネなしでも十分に愉しめるような演出になっているとは思いますけれども、それでも、希望する人には貸し出す、という体制が整っていないというのはモヤる。全員分が出ないなら翌年以降に回すとかできなかったのか。
まあそういうのがうまくいかないのが、利害関係者があちこちにいるオペラという伏魔殿なわけで「すまん、うまくまとめらんかってん」ということなんだと思いますよ。えっ?それをまとめるのが運営の力量というものですよ、だって?いやでも言うは易く行うは難しなんでね。文句あるならお前やってみろよ、って言われたら、出来ませんごめんなさいってことになると思いますよ。
現在音楽祭を率いているのはワーグナーのひ孫、カタリーナ・ワーグナーなんですけど、今年の秋で任期は切れる。再任されるかどうかは不明な様子であります。
本人はいらだちを隠しておらず「自分が再選されるとしても、いくつかの構造的な問題が変わらなければ続けるんは無理。昔ながらの演出を続けるだけならDVD見たほうがええ」というような事を語っている。もしかすると本人の望むと望まざるとに関わらずカタリーナは音楽祭を去るかもしれない。なおほかにいるワーグナーの子孫はカタリーナの後を継ぐことを誰も希望していないということなので、いよいよワーグナー家による音楽祭の運営が終わるかもしれない。
いずれにせよ忘れてはいけないのは「チケットが売れてなんぼ」ということです。聴衆からそっぽを向かれてはおしまいです。スポンサーも離れて行く。
君ら政治闘争やってる場合とちゃうんちゃう。
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