アリス・アデール一日目ありがとうございました。

みなさまごきげんよう。ごきげんですか。ごきげんです。アリス・アデールさんもご機嫌でした。写真が下手でごめん。いや、でももしかしたら後光が差しているというように見えなくもないね。

コンサート直前、楽屋に呼びに行きましたところ固く緊張のおももちで、ああこのお歳になってもやはりコンサートで演奏するという行為は緊張を強いられるものなのだ、と、いたく感動いたしました。自分は弾かないんだから気楽なものだな!という反省とともに。

ですがいざ演奏が始まるとあの固い表情はどこへやらの自由闊達。しっかりとした演奏で、指の敏捷性も確たるもので、ミスタッチもほとんどなく(歳を取ってくるとこのあたりがどんどんいい加減に、おざなりになっていく人もいる)、この年齢でこの完成度!「ひとうちで七匹!」「ひとうちで七匹!」とまったく関係のないグリム童話の勇ましいお話が私の頭の中でぐるぐると駆け回っていたのでした。

はっきり言いましょう。私は不安だった。最近の演奏会の様子が見えてこなかったんですよ。YouTubeにあがっている動画もやや古い。年齢が上がると急激に衰える人もいる。果たして演奏は、と大変失礼な「最悪の場合」も想定していたのでした。

しかし抜群の安定度、そして途切れぬ集中力。80近くになって、フーガの技法を休憩なしで演奏するとか、しかもトレードマークというか、CDでもそうだったように遅いところは遅いテンポで、二時間近くかけて弾ききる(昨日は103分ぐらいだったかも)とかね。最後まで集中力も体力も切れた感じがしなかったもんな!愛だな、愛。この曲を愛するがゆえだな。

体力的には余裕だったみたいですね。開演一時間前、練習を終えたアデールさんに「アンコールします?」と尋ねましたら「プテートル!」(たぶん)と返事が戻って来たし、ゴルドベルクですね?と言ったら「アンテグラール!」(全部ね)と軽口が返ってきたではないか。

そして結果として第25変奏を弾き、さらにシューベルトも弾くという連打っぷり。これはすばらしい。実に、得がたい!!土曜日のフランスプログラムも大変楽しみであるとしかいえないのではと思っています。特にエルサンな。

シューベルトのアンコールについては、あーごめん作品名はわかんねんだわ、とご本人もおっしゃり、楽曲検索アプリを使ってなんど検索しても「わかんね」としか出てこなかったんで、ものすごい記憶力の方、シューベルトなら何でも知っているド変態のご登場を待ちたい。

※2/14追記:特定が出来ました:シューベルト《17のレントラー》D366 第12番 変ホ長調

なお17日の公演は完売していますが、18日日曜日に名古屋でもコンサートがあり、こちらはまだチケットがありますので、全国のピアノファンの皆様は押っ取り刀で駆けつけてください。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • アデールのバッハ、素晴らしかったです。どうやったらあんなに、各声部が鮮やかに浮かび上がるのでしょう…そして、最期の中断。実は先週家内の母が急に亡くなり、まさにその状況を想像してしまいました。とても深い沈黙でした。
    ところで、シューベルトのアンコール、ひょっとしてレントラーとエコセーズop.18, D.145 12のワルツの第6曲ではないでしょうか? ご自身の過去のyoutubeでも弾かれているようですが…違っていたらごめんなさい。そもそも最初、ショパンかと思って聴いていました…
    名古屋も行く予定です。楽しみです。

コメントする