「パガニーニの唯一の弟子」による録音が見つかる

見つかる、と書くのは正確ではないかもしれませんが、見つかったというか、もともと存在が知られていて、別の人すなわちアウグスト・ヴィルヘルミ(1845-1908)の録音だと思われていたものが、実はパガニーニの唯一弟子と言われるカミッロ・シヴォリ(1815-1894)の録音だった!ということが判った!という衝撃的なニュースなのでした。しかも死の数日前の録音だった可能性があると。

なおレコードではなくて、蠟管ですね。ろうそくのろうね、あれに溝を刻んで録音するっていう最初期の録音機です。エジソンが1877年に発明したやつ。ぞくぞく来るね!

めちゃめちゃかいつまんでご紹介すると、この蠟管はもともと楽譜出版で有名なショット社のロンドン支店に保管されていたもので、1960年代、会社のお引っ越しのときにゴミ箱に捨てられていたのを当時の社員が拾ったもの。とても数奇な運命を辿っているブツだったわけです。

つまりはこういう感じで世の中から消えていくものがたくさんあったしこれからもあるということでもあるわけですがそれはいいとして、もともとショット社のロンドン支社長のヴォルカートという人の机の中にあり、1929年にヴォルカートさんがお亡くなりになったあとも机の中に入ったままだった。お引っ越しで捨てられかけていたところを従業員の方が救って40年ぐらいたぶん自宅にとっておいていた、ということなんだそうですね。

そしてその合計16個ある蠟管は2005年に大英図書館に寄贈された。演奏はたぶんヴィルヘルミ、1900年ごろ、という言葉とともに。それ以来、図書館でも調べきらず「たぶんヴィルヘルミ」のまま時間が経過していたところ、アメリカの研究者アンドルー・クラスティンスさんという方がこの蠟管の存在を知り、何か変やぞ!!とピンときて強烈に調べまくった結果、ヴィルヘルミではなくシヴォリの録音、1894年、死の直前、という結論となったのであります!ババーン!!!130年前の演奏。すごい。大興奮や!!

なぜシヴォリの録音だとわかったのかというと、そもそも16の録音のうち1曲を除きヴィルヘルミが弾いた記録のない曲目だったから、ということや、シヴォリしか知らなかっただろう自作の録音があることなど。そのほか様々ものすごい膨大な量の文章がここにあって読み応え十分なので、ぜひお読みください。すんごい執念ですね。

なおこの蠟管の音源、今後公開される可能性があるそうです。おもろい。楽しみに座して待ちたい。

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