クラシック音楽は凋落しているのか、クラシック音楽への関心は低下する一方なのでしょうか。昨日お伝えしたミュンヘン国際コンクールの予算大幅カットのニュースなどを読むと、やはり考えざるを得ません。メジャーと呼ばれたものを含めてクラシック音楽のコンクールというものの「存在意義」に関しても考え直さざるを得ないのかもしれないと思います。コンクールは終わったのかな?そうでもないのかな?
先日もある大使館の方と話をしていて「文化の領域でもクラシック音楽の話にはなかなか行かない」とお聞きして、簡単ではないなということを感じています。
考えてみたことはおありですか。クラシック音楽は今後生き残れるのか?売れるコンサートとはなにか?突如閉店するお店のニュースを見て、うわー残念、というのは簡単なんですよ。当事者たる我々は頭を柔軟にして時代の変化に対応していかないといけない。海外から大家がやってきて、その最も得意とする音楽をやる、それで売れた時代は終わっています。
先日ロンドンである大手音楽事務所のベテランと話をしていましたら、ロンドンでのチケット販売は大分戻って来た。しかし売れ方が変わった。ギリギリにならないとチケットが売れない、とのことでした。日本と同じかもしれない、と感じています。日本でも「いやー、チケット、ギリギリまで売れないんですよね」という話はけっこうききます。ギリギリまで売れないということはつまりギリギリに売れるだろう、と読んでいた売れ行きの思わしくなかったチケットが、期待を外れてそのまま低空飛行で終わる、という話もしょっちゅうだと聞きます。
もちろんいずれも肌感覚なのでデータで示せと言われたら示せませんが、現場の感覚っていうのはデータを取って調べるだけの体力がないこの業界にあって、一番頼りになるものです。
何をどう宣伝してもびくとも動かず最後までいくもの、最後にちょっとあるいはぐっと伸びるものがある一方で、売れるコンテンツは何もしなくても売れる。放っておいても売れる。
ここに不特定多数に向けての発信の難しさをますます強く感じています。砂浜にバッと水を撒くようなものでそのまま消えていく。ではどうすればいいのか、関心を持っている人たちのところにピンポイントに情報を提供する?むしろ、関心を持っている人たちの絶対数が多いコンテンツにだけ力を集中させる、という取捨選択がますます進んでいるようにも感じています。
いま販売中のサヴァールやサーディのチケットに関してもいろいろと学ぶところがあると感じています。
ジョルディ・サヴァールはほぼ何も、というと間違いですが、こちらから能動的なしかけを次から次へとせっせせっせとしかけていかなくても、チケットは売れていく。デザインされたチラシを作りましたがほとんど刷っていませんし撒いていません。これはやはりコンテンツが強力だからかもしれません。私からお願いしなくても広く情報として採りあげていただく、ということも経験しました。あそこに載ってたよ、と後からお聞きすることもしばしば。お採り上げいただいた皆様に感謝を申し上げます。
古楽界の神様であり高齢である=今回を逃すとあと何度チャンスがあるのだろうか、という焦燥感や飢餓感からか、人々が自然と集まってくる、という感じもあるのかもしれません。
サヴァールの京都公演は発売開始10分ちょっとで完売しましたし、横浜公演も間もなく完売します(あと30枚を切りました!)、三鷹公演もイープラス販売分は終了となっている。ぼやっとしていると全公演完売するので本当にいま、いますぐ、お買い求めくだい。
そして11月22日に開催するヤメン・サーディという、若いウィーン・フィルのコンサートマスターのコンサートに関してはどうか。ご本人には失礼ながら日本ではほぼ無名の若い演奏家で、販売は楽ではないだろうと感じていますが、この人にもフックがあって、それは「ウィーン・フィルのコンサートマスター」という強力なもの。たとえ本人の知名度がそこまで高く無くとも関心を引く要素である、と信じて販売しています。
それなりに大きな広告を出したり、インタビューを取りに現地に行ったりと、ヤメン・サーディという人の存在を、そしてコンサートの存在を知ってもらうように努力をしています。じわっとチケットが売れ始めていて、このまま曲線カーブを描くように売れていってほしいな、と願っています。
本当にあの手この手を考えないといけません。かつての手法は、コロナを境に、が正しいのかどうかはわかりませんけれど、さらに通用しなくなっている。
【残券僅少!!30枚を切る!】10月28日(土)14:00 神奈川県立音楽堂(桜木町駅徒歩10分)
ジョルディ・サヴァール 横浜公演
●10月31日(火)19:00 三鷹市芸術文化センター 風のホール(三鷹駅徒歩15分)
ジョルディ・サヴァール 東京公演
●11月22日(水)19:00 浜離宮朝日ホール(都営大江戸線・築地市場駅すぐ)
ヤメン・サーディ ヴァイオリン・リサイタル
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