AIが描く絵が凄すぎて、いらすとやが不要になるレベル、いや、世の中のイラストレーターという職が危うい、という噂が流れていて、すごいなとも思うんですが、そんなことよりも(そんなこととか言ったらいけないんでしょうけれど)、早く世の中から「譜めくり」という職業をなくしてくれよと私は強く主張したい。
譜めくりという職は労多くして功少なしであります。人知れずひっそりと、ピアニストの脇に座り、間違えることなく、確実に、的確に、ピアニストの好みに合わせて、めくり続けなければならないのだ・・・。
突如現れる繰り返しのちょんちょんに狼狽し(どこに戻るんだっけ・・・)、1カッコ2カッコにうろたえ(どこに戻るんだっけ・・・)、ダ・カーポにも殺意を覚えるのである(どこに戻るんだっけ・・・・)。
「どこに戻るんだっけ症候群」に太古より悩まされる職業、それが譜めくり。いまはもう21世紀やぞ。
どこに戻るかをきちんとチェックして、その難関はクリアしたはずなのに、はたと気がつけばピアニストが早くめくれとアピールしてくるっていうトラップもあるよ(あれ、さっきめくったばかりなのに?)。
苦しみしかない地獄の釜、あるいは針のむしろ。譜めくりという仕事は絶句と絶望とに覆われているのである。
だから早くAIなんとかしてくれよって思ってるんですが、まだですか。AIが楽譜を学習して、どんどんとページが演奏スピードにあわせて進んでいく、あるいは視線を頼りにめくってくれる、そういう仕組が、できませんか。顔の向きでどこらへんを弾いているかはわかるであろうし、どのあたりでめくればいいかっていうのは、それこそ学習させれば「そのピアニストにとって最も心地よいところ」でのページめくりが実現するであろう。基本的には最下段の最終小節にある長い音符のあたりでめくるのがいいんだよね。
それにタイミングが完璧である必要はなくてですね、っていうかだいたいピアニストっていうのは、次のページにどういう音符が書かれているか、あるいは音楽の流れをほぼ覚えているから、少しぐらいタイミングがずれてもいいのです。あるいは、バックアップとして足のペダルや顔の表情でもめくれる、という風にすることも可能でありましょう。
訳:新しいiPadを手に入れた。「楽しいよ」と言われた。「顔でページをめくることができるんだ」。まだマスターしてないと言って差し支えない。
オルガニストもたいへんっすよ。
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