本を書くためシベリウスに関して調べていて知ったのは、ともかく浪費癖が凄かったことに加えて酒癖が悪かったことですね。
ベロベロに酔っ払って指揮台に立って、本番なのにもかかわらずリハーサルと間違えてオーケストラを止めてしまった(客席にいた妻は顔面蒼白)、とかいう逸話も読みましたけど、そもそもベロベロに、前後不覚に酔っ払ってそれでも指揮台に立てる、という時点ですごい、と不思議なところで感心してしまいました。
酔っ払ったら自分の場合は音楽なんか全然わかりません。飲みながら演奏、っていうのは今でもたまに聞くような話の気がしますけれど、私は無理っぽいです。多分身体がそれほどアルコールに強くない体質だからなんだと思うのですが、アルコールを飲んで(飲みながら)音楽に限らず何らかの本番をするとか、絶対に真似できないっす。いや、真似したいとも思わないですけれど。本番ならしらふで。アルコールは夜だけ。
酔っ払って本番に臨んで、話の途中で寝ちゃったっていう古今亭志ん生の話はわりと好きなんですけど(しかも、本人が目覚めるまで客がみんな待っていたっていう本当かどうかわからない話もぐっとくる感じ)、しかしアルコールに絡んだ逸話というのも時代にそぐわなくなってきているようにも感じます。
ともかくシベリウスは酒を飲みまくっていた。そして酔っ払った若きシベリウスを描いた油絵《シンポジウム》(1894年、上の画像、シベリウスは一番右の目が据わっている人)があって、それが発表された当時わりと問題になったようなんですけれど、その絵の中に描かれている酒のボトル、それが、シベリウスがよく通っていたヘルシンキのカイサニエミ地区、そこのあるレストラン床下から出てきたと。それがフィンランド国立博物館の「アクセリ・ガッレン=カッレラ展」で展示されているそうで、それはそれでまたすごい話だなと思いました(アクセリ・ガッレン=カッレラがその絵を描いた画家)。
— Timo Aalto (@TimoAalto11) December 4, 2022
うん?上のツイートの絵と《シンポジウム》とは若干違いますね。似たような絵を複数描いたって事か。そのボトルは、もちろん描かれている絵の中のボトルそのものではないでしょうけれど、恐らく当時あるいはそれに近い時代のボトルっていうことで展示されているのでしょう。ホコリまみれなのがまたビビビッと来るっていう感じか。
なおこのボトル、ワインとかウィスキーとかではなくて、ベネディクティンというフランスのリキュールなんだそうです。この酒は薬草がいっぱい入っていて、現代では(昔から?)お菓子のために使われることが多いんだとか。強さは40度。
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