弊社が2023年より日本でのマネージメントを担当させて頂いているヴァイオリニスト、ヤメン・サーディは先月9月22日付けでウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターに正式に就任しました。それについては以下お知らせした通りですが、

おとといヤメン・サーディがライナー・キュッヒル夫妻とウィーンで会い(実は初めてとのこと)、2時間半にわたっていろいろ話し込んだという情報を頂戴しました(上がその写真)。実ににこやか。素晴らしいツーショット。
ヤメン・サーディが学んだベルリンのバレンボイム=サイード・アカデミーも誇らしげにヤメン・サーディのウィーン・フィルコンサートマスター就任を報告しています。ウィーン出身ではなく、ウィーンの学校で学んだわけでもなく、しかもヨーロッパ人でもないという人物が、いわゆる保守的であり、時にその保守性が批判されたりすることもあるウィーン・フィルのコンサートマスターに正式に就任した、という事実は、何度も書いていますが、オーケストラの歴史上かなり意味のあることでしょう(ことさら強調することではない、と感じる方もおられるかもしれませんけれど、やはり少なからぬ意味があると感じます)。
とはいえ、ウィーンの伝統は破壊されるわけではありません。大切にされてきたものは、次世代に伝えられていくものであり、形は少しずつ変わっていくかもしれいないが、前へ前へと進んで行くものなのだと理解しています。女性の奏者が多数いることも、かつてからすれば考えられないことでしたし。
そしてヤメン・サーディ本人も、その伝統に溶け込もうと努力していて、毎日学んでいる、と語っていました。その例として、先輩コンサートマスターたちからの数々のアドバイスについて、とりわけ最長老の現役コンサートマスターであるライナー・ホーネックからいろいろと教えて貰っている、というようなことを話してくれたことがあります。
そして、同じライナーというファーストネームをもつ、日本の音楽ファンにとってまさに“ウィーン・フィル”の顔とでもいうべき存在だったライナー・キュッヒル(在任1971-2016年。なお、キュッヒルの後任ポストは長い間埋まらず、今回ようやくヤメン・サーディがそのポジションを確実なものとしました。そういう意味で本当にこの二人はザ・パイセン、そしてザ・後輩なのです)と話すこと、その言動の端々にウィーンの音楽の伝統が詰まっている方ですから、そのような人物との交流は、あらゆる意味で「伝統は若い世代へ引き継がれる」というフレーズを体現するものでしょう。
こうしてウィーン伝統をスポンジのように勢いよく吸収しているヤメン・サーディが今後ウィーンの音楽界の顔、ひいては世界のオーケストラの顔、となっていくことを弊社も確信しており、わくわくわくわくわくわくしております。今後の活躍にもぜひご注目ください。
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