ウィーンではいま、《ノルマ》がかかっている。国立歌劇場でノルマが、そしてアンデアウィーン劇場でノルマがかかっている。
「えっ?」「・・・・・・えっ?」
アンデアウィーン劇場ではウィーン響が演奏していて、もちろん国立歌劇場ではいわゆるウィーン・フィルの母体である国立歌劇場管が弾いているわけであるからして、つまり、ウィーンのトップオーケストラ2つが並んでノルマをやっている状態。まさにどうしてそうなった状態。東京でも同じ時期に《グレの歌》が重なってみんな天を仰いだという瞬間があったと思うのですが、ウィーンでも同じ事がおこったわけ。
なんでこんなことが、事前に話し合いとかなかったんか、と思いますが、ないでしょう。自分の手の内のカードを見せてから勝負するやつなんているか。いないよね。だから起こってもしょうがないわけ。なおウィーン響の方はコロナで延期になってた案件だったようです。重なる重ならない、とは、そこまで関係がないかもしれないけれど。
それぞれの第2ヴァイオリン奏者が、「身体が痛くて」(ゆっくりとした伴奏を延々演奏しないといけない)、と同じ感想を言っていたのにも微笑しました。本当は私の先月のウィーン滞在、日程的には国立歌劇場のノルマ初日に行けたんですが、早々に完売していて行けなかった。
しゃーないから写真だけ撮っとくか、と撮ったそのお写真が、いまこそ火を噴く時が来た!(このブログで使えた、っていうだけ。上の写真見て。ほらほらNORMAって書いてあるでしょう。HEUTE PREMIERE NORMAって出てたんですよ。5文字ずつしか出せない仕様だから「HEUTE」「PRE- 」「MIERE」「NORMA」と出ていた。今日がノルマのプルミエっていう意味ですね。)
で、そのノルマで代役騒ぎがあったと。騒ぎというか、まあ歌手の代役問題というのは日常茶飯事でしょうけれど、国立歌劇場で歌っていたフローレスが歌えない、となって、アンデア・ウィーン劇場で歌っていたフレディ・デ・トマーゾが代役で出てきた。つまり両方で歌った、ということですね。
やるやん。
みんなやるやん。ウィーンのノルマがダメなら、ウィーンのノルマがあるじゃない?ライバルというとあれですが、ウィーンからウィーンへ、ノルマからノルマへ。やばい。おもろい。
両方聴くぜ!と勢い込んでいた人はがっかり?そうでもないでしょう。やばい、おもろいやんけ、と思って皆さん臨まれたんではないか。
なお、国立歌劇場は15日まであと3回上演が残っていて、アンデアウィーン劇場の方は今夜含めあと2回。デ・トマーゾは3日連続で歌うということになった。
こんな事も歌手人生で滅多になかろう。
エンジョイ。
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