ポリーニ:パリをキャンセル、メータ:ベルリンをキャンセル、ブロムシュテット:東京をキャンセル

© Mathias Bthor / Deutsche Grammophon

ポリーニがパリのフィルハーモニーでのコンサートをキャンセル。メータはベルリン・フィルの公演をキャンセル。ブロムシュテットはN響をキャンセル。

Maurizio Pollini annule son concert parisien Diapason

Cancellation Zubin Mehta Berliner Philharmoniker

ポリーニがフィルハーモニーのコンサートをキャンセルするのは3回連続。もともと今年2月に予定されていたものが5月になり、そして10月になり、それもキャンセルになった。今月30日にはチューリヒ・トーンハレのコンサートも予定されているが、それもどうなるか判らない。今回キャンセルしたコンサートのプログラムを見ると実質前半20分、後半25分程度とめちゃくちゃに短い。本来的に相当気を遣った内容だった。それでもダメということ。

ここまで健康状態に不安があるのであればもうさすがに・・・とも思いますが、本人も執念かもしれないし、それが生きる原動力かもしれないしと思うと、なかなかもうやめたら、ともいいづらいのではないかと思いますね。だが度重なるキャンセルによって振り回される人々がいることもまた事実なので、誰かがいつか言わないといけないことかもしれない。なかなかつらいことですね。

メータの代わりはドゥダメル。マーラーの5番がメインなのはいいとして、新作、そして恐らくあまり多くの人のレパートリーに入っていないのではないかと思われるボリス・ブラッハーの作品も振るということなので、この交代はなかなか指揮者の側の負担が大きい。受け手を探すのは簡単ではなかったかもしれません。受けたドゥダメルにカツだ!!間違えた、アッパレだ!!(もしかすると、予めもしもの時として打診をしていたのかもしれない)。

その昔、晩年の朝比奈隆はリハーサルの時に指揮台に立つたび「もしかするとこれがみなさんと共演させて頂く最後かもしれない」というような趣旨の話をされて、それがゆえにみな感動して素晴らしい演奏をした、というようなまことしやかな話を、とあるチェリストの方から聞いたことがあります。そして次回というのがもちろん何度もあって、そのたびに同じ話をされて、みんな感動して・・・・。

人の感動というものはここからも判るとおり、かなりあいまいでいい加減なもので、何がどこでどうスパークするかわからない。度重なるキャンセルのあと、キャンセルなしで開催されたコンサートは一生の思い出、素晴らしい体験となるかもしれない。人間とはつくづく不思議な生き物なのだなと思います。

ポリーニ、メータ、ブロムシュテット、そして高齢でなお舞台に立ち続けるすべての音楽家の長寿とご健康をお祈りしたい!長く感動をもたらしてくれてありがとうございます!

我々若者もがんばりましょう(我々、と自分を含めちゃうとだめかな?)

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 高齢による演奏活動について、考えさせられる記事でした。
    中でもポリーニについては、以前、ロンドン公演での記事を読み、愕然としました。ご紹介のありました、現地の記事は、
    “He looked like a ghost.”
    の言葉で締め括られていました…………
    彼の全盛期の演奏を聴いてきた多くの方々が悲しい思いをしたでしょう。
    「長く感動をもたらしてくれてありがとうございます!」
    この言葉、私も同感です。

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