譜めくりという職業がなくなるべきもう一つの理由「消える楽譜」

譜めくりという行為をしなければならない、という未解決の事象を心の底から憎々しく思っていて、なんならわら人形に釘を打ち付けたいとすら思っている、それは私だけではないと思います。世の中から譜めくりが早くなくなればいいのに、と常々思っています。

だからだれか本当にAI譜めくりを作って欲しい。自動的にめくれる仕組みを作って欲しい。iPadがその最終回答かどうかはわかりませんが、そこに近いところにいるのではないかと思っていますけれど、それでも足を使ったり表情でめくったりなんかしないといけない。それだってなしで、めくりてえ!!!(切なる叫び)

レブレヒトが紹介していた映像を先ほど見た私は、またしても意気消沈して、絶望のあまり豆腐の角に頭をぶつけて意識を失いそうになったと申し上げたい。このようなことは起こってはならないが、現実に起こるのだ。

「消える楽譜」

事象:譜めくりをしたはずが、楽譜が消えた。

対応:ピアニストは記憶を頼りになんとか演奏を続行しました。楽譜通りにとはいかなかったが、大事故に至ることはありませんでした。勇気をもって暗譜での演奏を敢行したところ、譜めくりストが楽譜を発見し救出、事なきを得ました。

しかしピアニストも譜めくりストも一瞬何が起こったのかわからなかっただろうし、わかったあとは絶望し、自らの運命を呪ったのに違いないのだ。

疑問:楽譜はどこへいったのか?
答え:ピアノの鍵盤の蓋と本体の間の隙間に滑り込みました。
対応:譜めくりストは狼狽しつつも鍵盤の蓋を半分以上開けて(閉じて)ピアノ本体の方の奥を探しましたところ、手の届くところに楽譜が滑り込んでいたので、それを引き出して譜面台に置き直すことに成功しました。演奏はかろうじて止まることなく続行しました。

幸運だった点:演奏していた曲がチャイコフスキーの《懐かしい土地の思い出》から「瞑想曲」という、ゆっくりしたテンポの曲だったので音楽の進む速度が遅かった=記憶を頼りに演奏する音符の数がそこまで多くなくてすみました。

不幸だった点:楽譜がペラペラ(極薄)だったため、細い隙間に落ち込むこととなりました。

いやはや、譜めくりストの受難は、いったいいつまで続くのだろうか。

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