パリ管/マケラがムジークフェラインで大爆発

クラウス・マケラ指揮パリ管弦楽団

今日という一日が、私にとって生涯忘れられない日になったのは、なぜだろうなぜかしら。

旧知のウィーン響メンバーと長話をしたから?サヴァール先生といかにベートーヴェンがすごいかという話をしたから?ウィーン・フィル団員数名とどれほどムーティが怖いかという話をしたから?それとも・・・・・・クラウス・マケラ/パリ管の春祭が凄すぎたから?

どうしてなのかは私は知っているのだが、どれを選ぶかはあなた一人一人に判断を委ねたい(いや委ねるな)。

でもせっかく音楽のことを書いているブログだから、今夜のマケラ/パリ管の凄かったことを書いておこうか。こないだサントリーホールで、いよっ社長!パリ管売れてますやん!すごいですやんって軽口を叩いたのですが、そんな軽口を叩いたことを反省したい。売れ行きどころの話じゃなくて、演奏がもの凄かったから。フェスティバルホールで聴いた春祭よりも、ダントツ凄かった(気がした)から。

昨夜のコンツェルトハウスに引き続き今夜は楽友協会。やっぱり何も変わっていない楽友協会、19:30。金ピカで、開演しても客席の照明はフルフル全開のままなのも、変わらず同じ。こんなにおんぼろだったかしら。おんぼろだったよねきっと。歴史を感じる。心底感じる。

前半もウェーイだったものの、なんせ後半の春祭(ストラヴィンスキー作曲《春の祭典》)が凄まじくて。これはホールの平土間の床がオンボロベニヤ板風(ごめんなさい。多分めっちゃいい素材なんだと思うけど、年期が入っていてすり切れていて、ギシギシ言う)で、ステージとそれが繋がっていて、ステージ上でティンパニが、大太鼓が、コントラバスがうなりを上げるたび、足元からビーン!ビーン!って振動が伝わってくるわけ。

これだけでもう興奮度+20000%ですよ。高いお金を払って平土間に座って良かった。若い頃だったら絶対躊躇してたけど大人の私は躊躇せず買ったもんね(本当はけっこう躊躇したくせに)。

ほんでホールの空間も狭いし、飛んでくる音の密度が高い。音圧が全身にバンバンかかってくるわけ。ほんでもって、打楽器系がめっちゃ盛り上がってくると打楽器奏者がゆらゆら右に左に揺れながら叩いている、その姿がますますエモいわけ(エモいってどういう意味?)。揺れてるやん。揺れているね。そうだね。そうだよ。

マケラの魔法の棒さばきが冴える。昨夜のサヴァール先生とは異なる種類の満足と野性味があったわけ。だから、スギちゃんが座っていたらこう言ったと思う。

ワイルドだぜぇ?

うん。終演して、客席を立ったとき、私には見えた。ステージ回りにぼやっと霧のようにモヤる空気が。これはどこかで見た・・・・・・。そうだ、サッカーのワールドカップで試合が終わった時に見えた霧だ。

さっきまでの客席の興奮の怒号、そして演奏者の汗、そういったものが渾然一体となって、ステージ付近で渦巻いているんだね。ウィーン最高やな。ありがとう。グリュスゴット。飲み過ぎには気をつけてな。

明日はウィーン・フィル定期とサヴァール先生2公演目、ダブルヘッダーです。

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