世界初?Newzikアプリが楽譜PDFをワンタップで好きな調に移調してくれる

Newzikという楽譜アプリがあって、うかつな私は今日までその存在を知らなかったんですが、40万以上のユーザーがいて、しかもその顧客リストにはミラノ・スカラ座、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場など錚々たる名前が並んでいるという。こう聞くだけですでにものすごい感じがある。多分使い勝手がめちゃいいのであろう。

なぜこのアプリをいま紹介するのかというと、フランスのDiapason誌に、世界初、読み込んだ楽譜PDFをそっくり移調可能になった!とあったからです。

Transposer une partition grâce à l’IA : c’est possible !Diapason

楽譜の移調はクラシック音楽には関係ない、と思っていませんか。関係あります。特に歌~歌手~伴奏界隈ではめちゃくちゃに関係があります。

クラシック音楽っていうのは基本的に書かれた調(ト長調とかイ短調とかそういうやつ)で演奏されることになっていて、練習のために調を上げたり下げたりということはしないわけではないけれど、普段は上げ下げされることはない。

ただし歌曲を除く。

・・・なのです。歌曲の場合、歌う人の声域というのには個人差があって、原曲はイ短調でも「高すぎて歌えないから半音下げて嬰ト短調にしてよ」「輝かしい音が欲しいから一音上げてロ短調にして欲しい」あるいは「そう、思い切って今日はホ短調で!」みたいなリクエストもあるかもしれない。はっ?・・・それがピアニストをどれだけ泣かせてきたか。え?出来るでしょ当然?出来ません。しかも、えっ、待って、開演直前にそれ言う?あと3分で7時ですけど?みたいな。

見た目と違う調で演奏するテクニック。これが強烈に難しいということはなんとなくご理解頂けると嬉しい。楽譜を頭の中で変換しながら演奏することの不可能さ。本来鳴るはずの音ではない音を鳴らしていく虚無感。

でも、もう大丈夫。Newzik、このアプリが瞬時に直してくれるから。ただしAppleのアプリでしか使えないので要注意。PCやアンドロイドではダメ。これが判らず2時間半ぐらいえっちらおっちらしてしまったぜ。苦労してiPadでやってみた結果をみてくれよ。

ためしにスマホで撮った楽譜を読み込ませてタップするだけで・・・

タップしただけで。こうなる↓

うおおお!!おげえええ!!!!!

ちなみにこの1ページだけで誰のどの曲か判ったあなたは天才。

そしてこの機能を使うためにはプレミアムに登録している必要がある。つまり年間39.99ドル(5900円ぐらい)がかかるわけだ。これを高いとみるか、安いと見るかはあなた次第。

しかしこうやってついに人類の悲願が達成されたわけなので、年間39.99ドル払う価値は、特に声楽界隈で阿鼻叫喚だった演奏家の皆さんなら「あり」なんじゃないでしょうか。

やがて日本製のアプリでもPDFを移調してくれるものが出てくるかもしれません。そしていつの日か「本日の《第九》は、ニ短調ではなく嬰ハ短調で演奏します」とかそういう日も来る。ぜってーにKURU。

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